ライオン誌日本語版1991年11月号
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- 学生たちにその話をしたら、「こん
昨年、娘を連れてソ連へ行ったが、
左から事事情生、加藤第三、木村治美、フランソ.
なよい国に住んでいて、何がそんな
に不満なのか」と、驚いていた。最
本当に食糧事情が悪かった。娘は、
ワーズ・モレシャンの各氏とお三翁億一
食べ物のない生活というのを知らな
近、学生たちと外国の大学に六週間
ほど行ってきたが、その大学の寮に
泊まった学生たちは、部屋にコップ
いから、かなり落ち込んだが、こち
らは、昔の知恵を発揮して食べ物を
確保した。歴史を踏まえていると、
がない、電話がついていない、と不 満だらけだった。それぐらいのこと
読みの深さが違ってくる。前車の轍
を踏まないように知恵が働くものだ。
は満たされていで当たり前だ、と考
えたのだろう。
歴史を勉強して、私たちが過去に背
負ってきたものを、若い人たちに伝
あるところで満足して、その後は
えていくことが大事だろう。一緒に
自分で解決していくという自立性と
いうか、何とか生活していこうとい
うたくましさがほしい。その反面、
海外旅行し、同じ体験をして、そこ
に違う解釈の仕方があることを話し
てやる。そういうよい関係をもって
早大の交響楽団が世界演奏旅行をし
静岡県・沼津香陵今は、一九九一年四
月七日、チャーター・ナイト十五周年を
いきたい。
びながらの論議が交わされた。これは、 その模様を抄録したものである。
たときは、どこでも絶賛された。彼
モレシャン日本の若者も世界の らは、厳しい訓練の結果、そういう
レベルに達したのだが、若者には、
若者も、皆、平和なときに生まれて、
記念して、沼津市民文化センターで、テ
レピ公開卜
トークショーには、パネラ!として、
l クショーを開催した。
過去を知ってこそ分かる自己
林まず、若者たちに何を期待す
るのか、その点から話を進めたい。 加藤アメリカのギャラップ・イ ンタナショナルが、世界十一カ国の
食べ物のない時代を知らない。皆そ
そのような素質、能力があるのだか
ら、その勤勉性、素直さを維持して
んなに違わない。そんななかでの国
早大の加藤諦三教授、共立女子大の木村
治美教授、ファッションアドバイザーの フランソワーズ・モレシャンさん、元国
際化ということで言えば、何よりも、
ほしいと思う
自分の国のアイデンティティーをも
木村いま寸時代の先が読めない
と言われているが、私たちには、子
つことが大事だ。私たちのル
l ツは
際理事努三鎗信一の四人が加わり、作家
の林晴生さんがコーディネーターを務め
た。
何か、ということを知るのが大切だ。
若者を対象に、社会生活などについ ての満足度の調査をしたことがある。
それによると、最も不満度の高かっ
供のときはこうだつた、という過去
私の曽祖父母はポーランドの貴族だ
を知っている強み、歴史を知ってい
テーマは、国際化時代が言われている
いま、寸私たちはこ十一世紀を担う若者
たちに何をなすべきか」というもので、
二時間にわたって、聴衆とパネラーを結
る強みがある。その歴史を若者たち たのが日本の若者で、二位を倍以上
も突き放していた。東南アジアの留 に話してやるのが、私たちの役目だ
炉」回也、つ。
代々伝わった宝石だけは、自分のル
ーツとして大切に守り通してきた。
その宝石の話を日本の若い人たちに
T h eL i o n ' 9 .1
ったが、亡命して貧乏したときも、
1 月 号
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