ライオン誌日本語版1991年11月号
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- 進諸国間の諸問題︑例えば日米経済
いて考える義務がありますし︑テー マへの各々のアプローチが明確化さ れ︑討論もより活発で面白いものに
なるでしょう︒
のが感じられました︒また︑この江
知った気がしたのです︒
号
摩擦やEC統合︑日本人による不動
産や企業の買収などに移ってしまっ
たために︑私は個人的に残念でした︒
州音頭のような開催地特有の文化を︑
それまで私は︑世界平和を守るた
−
用
世界各国の青年に紹介する場として
改めて実感しました︒
ヘヒロシマ﹀
めの正義の戦争ならば否定すること
馴
のエンターテインメントの重要性も︑
はできないだろう︑という意見をも
と言うのも︑日米欧についての情報
次に︑参加者の選出方法を再考し て頂きたいと思います︒今回︑参加 者のほとんどが︑恵まれた環境のな かで何の不自由もなく生活している 人たちでした︒その結果︑討議の論 点が先進諸国間レベルの問題に偏っ てしまったのです︒これは参加者間 の主張性の相違もさることながら︑ それ以上に出席者の比重が公平でな かったことに起因するハンディキャ ップも存在していたことに︑その原
因があったと思われます︒
っていたのですが︑それをヒロシマ
匂
㎜
は比較的豊富であり︑討議の成果も
T
輪
事前の知識を越すものではなかった
からです︒むしろ︑日ごろ取り上げ られることのない被援助国の学生に よる︑援助や経済についてのナマの 意見に耳を傾けるべきだったでしょ
う︒
皆さんがご存じのように︑世界青
年会議はいたる時︑いたる所で開催
されています︒そのなかには︑世界
平和をテーマに掲げているものも少
なくありません︒しかし︑今回の青
年会議は企画として傑出していたも
会議を通しての提言としては︑ま
ず︑次回の世界青年会議での講演は
カットしたらどうかということです︒
のと断言できます︒なぜならば︑私
たちは世界平和を語る際に不可欠な
もの−ヒロシマーを実際に見る機会
に恵まれたからです︒
今回の講演のテーマは一般に日本に 関するもので︑メーン・テーマとの
エンターテインメント 世界青年会議は何も討論ばかりで はなく︑連日の緊張感をほぐしてく れたエンターテインメントもありま した︒そこでは琴︑太鼓︑オペラ︑ バンドなどの素晴らしい技芸を堪能 させて頂きました︒とくに三日目の 夜の江州音頭では︑全員がハッピを 身にまとい︑リズミカルな太鼓の音 に合わせて二時間以上も︑踊り通し ました︒あの熱気のなかで︑研修会 議では得られない一体感のようなも
ヒロシマは︑私たち日本人にとっ
関連性が疑問に思われましたし︑討 論も各講演の主題には固執せずに自
由に論点を移行させてゆくからです︒
て小学生の時分から平和について感
じ︑考えさせるよき教育者でありま
した︒ヒロシマはこの世界青年会議
資金のこともありますし︑それなら
ば次回からは参加者にあらかじめテ
でも︑その一役を大いに買ってくれ
議 会 ーマを与え︑それについて各々の専 年 攻分野におけるリサーチを準備して 青
界 もらい︑研修会議ではその発表を進
ました︒私は日本人でありながら︑
一度も広島を訪れたことはありませ
んでしたが︑本のなかのヒロシマの
は一蹴してしまいました︒戦争はい
印象から︑実際のヒロシマも知って
かなる性格のものでも︑罪のない弱
世 めつつ︑参加者全体で討論を行った 集 ほうがよいのではないでしょうか︒ ︻特 参加者には︑与えられたテーマにつ
いるつもりでした︒しかし︑やはり
者である国民が犠牲者となり︑生命
自分の目で原爆資料館の生マしい展
を失うのです︒ですから︑どんな戦
示物を見たとき︑初めてヒロシマを
争も極力回避しなければならないの
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