ライオン誌日本語版1991年11月号
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E鵬 は ら ・ い さ お
7 日 、 島 根 県 出 雲 市 生 ま れ 。
6 4年 明 治 大 学 文 学 部 卒 業 。 姫 1 9 3 8 1 手2 月
原
猪三男
路 で 板 場 修 行 の 後 、 母 親 ヨ シ
子 さ ん ( 現 ・
7 8歳 ) 創 業 の 料
亭 「 お 多 幸 」 を 継 承 。 島 根 県
料 理 艶 景 境 衛 生 協 同 組 合 副 理
事 長 。 出 雲 市 飲 食 喫 茶 車 且 合 長 。 出 雲 火 守 流 革 特 史 家 元 。
撃 ラ 入 会 。 元 幹 事 。
7 5年 出
郷 土 料 理 と は 何 ?
日 本 料 理 に 違 い な い が 、 郷 土 料 理
と い う か ら に は 、 そ の 地 方 の 気 候 ・ 風 土 ・ 畏 俗 の 生 活 習
慣 に 根 ざ し 伝 承 さ れ て き た 料 理 、 郷 土 色 豊 か な 料 理 と い
う こ と に な ろ う 。 が 、 情 報 ・ 交 通 機 関 の 進 歩 は 、 か つ て の 地 域 住 豊 か な 生 活 習 慣 を 一 変 さ せ 、 同 時 に 食 生 活 を も 画 一 イ じ さ せ た 。 結 婚 餅 し も そ の 一 つ 。
出 雲 地 方 の 場 合 、 縁 結 び 併 申 さ ま の お 膝 元 な る が ゆ え
か 、 豪 華 と い う か 大 変 。 親 戚 朋 友 相 集 い 、 披 露 宴 カ 司 祭 夜
に 及 ぶ の は 当 た り 前 、 時 に は 数 日 に わ た る こ と も あ る 。
お 酒 に ご 馳 走 の 大 番 振 る 舞 い 。 こ の 場 が 地 元 料 理 人 の 腕
の 見 せ 所 と な る 。 こ う し た 古 酔 し 様 式 も 次 第 に 都 市 型 の 画
→ じ さ れ た も の と な っ た 。 昭 和 4 0年 こ ろ か ら の 傾 向 だ 。 さ て 、 立 原 か 索 : 京 の 大 学 を 卒 業 、 姫 路 の 料 亭 て 根 場 修
行 を 終 え て 故 郷 ・ 出 雲 に 帰 り 、 母 親 の 設 営 す る 料 亭 『 お
多 幸 」 の 調 理 場 に 入 っ た の は 昭 和
う か ら に は 、 出 雲 の 料 理 、 即 ち 郷 土 料 理 を 、 と 考 え た が 、
4 1年 。 地 元 で 腕 を 振 る
こ れ と い っ て な か っ た 。 そ こ か ら 「 郷 土 料 理 研 究 」 か 始 ま っ た 。 そ こ で 思 い つ い た の が 祝 い 膳 の ひ と つ ら マ ダ
煩 影 / 伊 沢 秀 毅
。島台盛り付け:大根、人参、昆布、干瓢を素材に、えび す線(左)大黒織(右)、留を刻む。祝の席の筆。まさに郷 土料理の芸術品だ。
イ パ 写 真 ① } 当 時 す で に 祝 い の 席 か ら 姿 を 消 し つ つ あ っ
た 。 こ の 道 の 先 輩 た ち か ら 技 術 を 習 得 、 現 在 に そ の 技 術 を 伝 え て い る 。 手 間 暇 か け る 上 、 高 度 な 技 術 も 必 要 と い う こ と で 、 こ の 料 理 を 身 に つ け て い る 料 理 人 も 今 日 て な
数 少 な い 。 こ の シ マ ダ イ と い う 郷 土 料 理 、 r島 台 』 と 記 す
そ う だ 。 長 方 形 の 大 き な 膳 の 上 に 、 野 菜 ( 大 根 、 人 参 等 )
で 作 っ た え び す 様 、 大 黒 さ ま 、 あ る い は 寿 老 人 、 鶴 な ど の 寿 像 が 彫 刻 さ れ る 。 海 の 幸 は タ イ 、 ス ズ キ 、 サ ザ エ 、 ア ワ ビ な ど の 盛 り 合 わ せ 。 松 、 竹 、 梅 が 配 さ れ 、 海 に 浮
か ぶ 島 に 見 立 て て い る と こ ろ か ら こ の 名 が あ る そ う だ 。 ま
@舗のけんちん蒸し:ニ匹の鍋(オスとメス?)が腹あわ
せ。背中あわせは具合が悪い。意味深長なる祝勝。 @スズキ奉書焼き. ,酋と塩に浸した鍾を奪容紙で巻き、両
さ に 、 新 鮮 な 海 の 幸 、 山 の 幸 、 そ し て 料 理 人 の 腕 が 一 体
と な っ た 究 極 の 郷 卦 ヰ 理 な の で 。 あ る 。
端を竹の皮て縛る。ホウロクで上下を挟んで蒸し焼きした
同
出雲地方の郷土料理。
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