獅子吼
クラブの誇り
車いすバスケ・ハダーズ
若杉充宏(北海道・函館元町LC)
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「今、困っている人に手を差し伸べる。それが奉仕団体としてのライオンズクラブの使命です」
かつて、地区LCIF委員長を務めていたクラブメンバーに、奉仕について質問した時の答えです。以来この言葉は、クラブが新しい奉仕活動を生み出す際の基準となっています。
2011年、函館車いすバスケットボールチーム「ハダーズ」は、支援を受けていたライオンズクラブの解散により、新たな支援者を求めていました。そこで、当クラブが新たな奉仕活動として支援を引き継ぎ、今年で14年目になります。支援の内容には、ボール・ユニフォーム・備品など消耗品の購入補助や、大会出場の遠征費の補助があります。ご存じの通り、北海道は他県に比べて桁違いに面積が広く、道内の大会への遠征でも1~2泊する必要があります。当クラブが支援するまでは、交通費・宿泊費・食費等の費用は出場選手はもとより、コーチ・監督・スタッフも全て自己負担で賄っている状況でした。大会によっては自治体から補助金が出る場合もありますが、微々たるもの。そんなところからも、日本の障がい者スポーツに対する認識の低さがうかがい知れます。
そうした中、ハダーズは私たちの支援に応え、「ハダーズ函館元町ライオンズWBC(車いすバスケットボールクラブ)」とチーム名の変更までしてくれました。ユニホームにプリントされた「ライオンズクラブ」のスポンサー名は、各大会で他チームの注目の的になっているそうです。
ハダーズは1991年に「函館車椅子バスケットクラブ(WBC)」として発足したチームです。昨年開催されたパリ2024パラリンピックの車いすラグビーで、見事金メダルに輝いた日本代表の一人、池崎大輔選手はハダーズ出身で、バスケットからラグビーに転向して大活躍しています。
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現在21歳の岩田晋作選手との出会いは2019年、彼が中学3年生だった夏に、母親に連れられて車いすバスケットの体験に来た時でした。その後すぐにハダーズに加入して、2020年には日本車いすバスケットボール連盟に選手登録。2021年9月に宮城県仙台市で開催された東日本車いすバスケットボール2次予選大会に、北海道代表のハダーズ函館元町ライオンズ車いすWBCの選手として出場したのが、初めての全国大会出場でした。そしてこの時、岩田選手は車いすバスケットボール男子日本代表の京谷和幸ヘッドコーチにスカウトされ、次世代強化指定選手の合宿でトライアウトを受けることになったのです。トライアウトには一発で合格し、次世代強化指定選手・U23の日本代表に選ばれました。
2024年11月、U23アジア予選大会がタイ・バンコクで開催されました。アジア7カ国の代表が出場し、上位3チームが2025年のU23世界大会出場権を獲得するこの大会で、日本は2位の成績を収めて出場権を獲得しました。そして、大会の個人賞として選出されたベスト5の一人に、岩田選手が選ばれたのです。4年に一度の世界大会は2025年6月にブラジル・サンパウロで開催され、岩田選手は日本代表選手12人の一人として出場します。
チームとしてのハダーズ函館元町ライオンズWBCも躍進しています。2025年1月31日〜2月2日には、天皇杯第50回記念大会全国車いすバスケットボール大会に出場します。各地の予選を勝ち抜いた16チームが東京体育館で熱戦を繰り広げ、日本一を決定する大会です。この記事が掲載される頃には既に大会結果が出ていると思いますので、ぜひ注目してください。
車いすバスケットボールを含め、有力なスポンサーもなく、手弁当でがんばっている各地の障害者スポーツチームを支援するライオンズクラブが増えて、いずれは「ライオンズクラブ杯」の冠が付く大きな大会が開催出来るようになればいいと願っています。
「今、困っている人に手を差し伸べましょう」
(2001年入会/一年理事/64歳)
2025.02更新
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