トピックス 全国へ波及させたい
持続可能なこども食堂支援

全国へ波及させたい持続可能なこども食堂支援

家族及び女性チーム(FWT/Family&Women Team)は、2014年11月に比較的ジェンダーギャップの大きい会則地域でパイロットプログラムとしてスタートし、現在まで継続しているのは日本だけとなりました。ここまで育ったFWTの組織を生かし、女性会員を増やすと共に、指導的役割を担って存分に力を発揮出来るようにしたいと考えています。

FWTは発足以来、多くの女性会員の意見を取り入れ、試行錯誤しながら数々の奉仕活動を企画してきました。各地区FWTは手応えのあるものから順次クラブへ紹介し、全国で展開されています。いずれの活動も、国際協会の八つのグローバル重点分野に合致するものです。ここでは奉仕活動のヒントとして、その中から二つの例をご紹介します。

一つ目は、小児がんの子を支援するためのヘアドネーションです。寄付された髪の毛で作られたウィッグ(かつら)は、病院を通して必要とする子どもたちに贈られます。この奉仕活動はスタートから8年間で全国のクラブに浸透し、各地区FWTの働きによりこの活動に特化したクラブ支部も結成されています。コロナ禍の影響でウィッグ製作の経費がかさみ、その捻出を含む小児がん支援の事業資金獲得を目的に「レモネードスタンド」を実施する活動も広がりました。時代のニーズに合わせて進化していく、よい活動になっています。

二つ目は、日本国内の子どもの貧困の問題に関わる支援です。FWTは2015年からこの問題に取り組み、ワークショップを重ねて、子どもたちが貧困の連鎖から抜け出すには教育こそが重要であるという結論に至りました。活動内容を模索する中で、困窮家庭の子どもたちにボランティア学生による学習支援を提供しているNPO法人から「勉強が嫌いな子は環境を整えた居場所があってもなかなか来ない」という話を聞き、食事を用意したら集まるに違いない、と話が決まりました。そして、子どもたちの居場所へメンバーが材料を持ち込み、その場で調理をして食事を提供する活動が始まりました。

これが、全国に広がり始めたライオンズによるこども食堂の草分けです。第1号は330-A地区が東京都足立区竹ノ塚で、続いて岩手県・盛岡観武ライオンズクラブが始めました。盛岡観武ライオンズクラブではこども食堂に特化したクラブ支部を発足させました(ライオン誌2017年9月号参照)。食料支援は国際協会のグローバル重点分野の一つでもあり、こうした動きは全国へと波及していきました。子どもの居場所での食事支援・こども食堂・フードパントリーなど、それぞれの地域に合った形で実施されています。

活動が広がりを見せる中で、複合地区のFWTコーディネーターの間で課題となっていたのが、子どもたちへの食料支援の活動をクラブが安定的、長期的に運営するにはどうすればよいか、という点でした。その課題を見事にクリアし、全国のクラブへの手本になると確信している取り組みがあります。「テンプル食堂かなざわ」を運営する石川県・金沢兼六、金沢城北、金沢みもざの各ライオンズクラブが、協力企業の地元スーパーマーケットとの連携で実現させた活動です。

この活動は、おおよそ次のように運用されています。スーパーマーケットの店内に、ライオンズクラブのコーナーとして協力を呼びかける支援ボードを設置。協力企業と相談しこども食堂で提供するメニューと材料を決め、必要な食材のバーコード付き寄付カード(1枚当たり200~500円程度)を作り、支援ボードに並べます。来店した買い物客は寄付したい食材のカードを選び、レジで代金を支払います。ライオンズはこども食堂の開催日にスーパーマーケットへ行き、寄付された食材を受け取る、という仕組みです。必要な分の寄付が集まらなかった場合はライオンズが購入することにしてスタートし、数カ月後には用意した全ての食材購入カード分の寄付が集まるようになりました。

このすばらしい活動は、ライオンズにとって奉仕の仲間を増やす大きなチャンスともなりました。2019年3月に金沢城北ライオンズクラブの支部として会員数8人で発足した金沢みもざクラブ支部は、こども食堂に特化した活動に多くの非ライオンズ会員を巻き込んでいきました。奉仕活動のやりがいと達成感を経験した人たちがライオンズクラブに興味を持った結果、17人の新会員を迎えて2024年4月に金沢みもざライオンズクラブを結成。それから更に仲間を増やし、現在は31人で活動しています。

金沢みもざライオンズクラブのガイディングライオンを務める334複合地区の村木峰子FWTコーディネーター(金沢城北ライオンズクラブ)は、こども食堂支援の構築にも大きな役割を果たしました。具体的な運営方法を分かりやすく図解した資料(子ども食堂-協力協賛企業との流れ.pdf)を提供していますので、ぜひ今後の活動の参考にしてください。

このシステムが進展すれば、日本のどこででも起こり得る天変地異の有事の際、いち早く募金活動を行うためのツールとしても活用出来ると考えています。

10年にわたり用いられてきたFWTの名称は、このほど変更になりましたのでお知らせします。国際協会には昨年度から、女性及び若手会員開発特別委員会(Women&Young People Ad Hoc Committee)が設けられました。私はパティ・ヒル国際会長(当時)からその委員に任命され、サンギータ・ジャティア委員長(元国際理事)の下、女性と若者の活躍を促すために活動しています。日本GATでは2024年12月をもって、FWTをWYP・Tとすることを決定しました。引き続き、女性会員そして若手会員の増強と活躍のため力を尽くしてまいります。

2025.01更新(GATエリアリーダー<東日本>/小川晶子<東京ウィル ライオンズクラブ>)

▼子ども食堂-協力協賛企業との流れ(PDFダウンロード)