編集室 被災地の復興を願う

被災地の復興を願う

2024年1月1日、新年早々に能登地方を襲った大地震は能登半島北部を中心に甚大な被害をもたらし、多くの尊い命を奪い、人々の生活基盤を破壊しました。そして、地震からの復興の歩みが進む中で発生した水害により、被災地は更に深刻な状況にあります。

皆さんの脳裏には、地震で倒壊した住宅の映像が強く刻まれていることでしょう。その多くは1981年に施行された新耐震基準以前の建物で、屋根は瓦ぶきでした。これは決して瓦の重さで倒壊したわけではなく、建物自体の耐震性の低さが原因です。瓦は仮設住宅にも採用され、快適な居住環境が提供されています。あまり報道されませんが、新しい建物の被害は大きくはないのです。災害時の被害を最小限にとどめるには、住宅の耐震・耐風性能の強化が有効な対策となります。

被災地の復興においては、地域の歴史や風土を尊重した復興計画が必要になります。能登地方の昔ながらの景観をつくる能登瓦(独特の黒い瓦)は古くから伝わる文化であり、技術でもあります。再建の過程で新たな防災意識や技術を取り入れながら、伝統的な景観やコミュニティーの特性を大切にした復興をすることが重要だと思います。

今回の災害は、自然の脅威と地域防災計画の脆弱(ぜいじゃく)性を改めて私たちに突き付けました。しかし同時に、困難な状況下での人々の連帯と奉仕という明るい光もあります。多くのボランティア、専門家のサポート、そして全国から寄せられるさまざまな支援は、被災者の希望となっています。その支援においては、刻々と変化する被災地のニーズを的確に把握して、必要な支援を素早く行うことが求められます。

復興の道のりは長く、困難を極めると思われますが、一日でも早く日常を取り戻すことが出来るよう心よりお祈りいたします。

2025.01更新(ライオン誌日本語版委員/三枝久夫<栃木県・佐野西ライオンズクラブ>)