編集室 自助努力と思いやりの心
ライオン誌日本語版委員 藤谷文雄
被爆体験の伝承などを通じて長年にわたり核兵器廃絶を訴え続けてきた活動が認められ、日本原水爆被害者団体協議会(被団協)が今年のノーベル平和賞に選ばれました。大変有意義な受賞です。ロシアによるウクライナ侵略、パレスチナ自治区ガザでの戦闘など、戦争がやむことのない現況を踏まえ、核の使用につながる動きに警鐘を鳴らす狙いも込められていると考えられます。被団協は、12月10日にノルウェー・オスロで開かれるノーベル平和賞の授賞式に参加して「ノーモア・ヒバクシャ」のメッセージを発信すべく、代表団37人(高齢被爆者の介助をする家族6人を含む)の旅費を募るクラウドファンディングを開始しました。その初日に目標額が達成されたのは、多くの人が共感と善意を寄せたことの現れだと思います。
人は一人ひとり違うからこそ、相手を思いやる心を持ち、互いに分かり合おうとする努力が欠かせません。受け取る相手に「伝わる」ように創意工夫し、物事を多面的に捉えることによって、さまざまな問題に解決策を見いだすことが出来るのではないでしょうか。ライオン誌も、読む人に伝わってこそコミュニケーションツールになり得るのであり、一方的な情報の押し付けだけでは十分にその役割を果たすことは出来ません。読者に「伝わる」記事をお届け出来るよう、努力していきたいと思います。
地球温暖化を始め多くの問題を抱える混迷の時代、若い世代に迷惑をかけたくないとの思いから頭に浮かぶのは「自助努力」の言葉です。最初の一歩としては、他人の力を当てにするのではなく、自分のことは自分の力で行う努力を惜しまないこと。それぞれが持っている能力、特性、素質などを十分に働かせ、健康を維持して自立した生活を送るための「自助努力」を心がけていきたいものです。
そして、「自助」が難しい社会的に弱い立場の人に対しては、思いやりの心と温かい言葉で寄り添い、地域社会の中で共生していくこと。それが最も重要であると考えています。
2024.12更新(ライオン誌日本語版委員/藤谷文雄<秋田県・大曲ライオンズクラブ>)