海外の活動 カーリングで事業資金獲得
アメリカ・ニューヨーク州
ニューヨーク州にあるウォールキル ライオンズクラブは毎年、資金獲得事業のカーリング大会を開催している。初回は2014年に、1日限りのイベントとして12チームで開催された。この時、氷の上で石を滑らせるゲームがこれほど盛り上がる企画になるとは、誰も予想していなかった。しかし2023年には46チームが2日にわたって熱戦を繰り広げ、400人を集客する大人気のイベントになった。クラブメンバーのアンディ・ハーチャーが同大会を発案した時のことを、大会委員長でクラブ副会長でもあるデイブ・ラスパーダはこう述懐する。
「私たちは常に資金獲得の新しいアイデアを求めていましたが、カーリング大会なんて全く予想外で、まるで珍しい生き物でも見るみたいにアンディの顔を凝視してしまいましたよ」
カーリングに詳しいメンバーがクラブにいなかったこともあり、本格的な試合ではなく、楽しむためのイベントとして企画することにした。本来試合で使用するストーンは花崗岩(かこうがん)で出来ていて、選手たちは専用のブラシで氷の表面をこすることでストーンのスピードや曲がる方向をコントロールし、ハウスと呼ばれる円の中心に最も近い場所に置いて得点を競う。ウォールキル ライオンズクラブの大会もルールはほぼ同じだが、ストーンにはステンレス製の鍋にセメントを詰めて小さなハンドルを付けたもの、ブラシは日用品のデッキブラシを使用する。また大会では防寒のために着込む必要があるが、各チームのコスチュームが年々奇抜になり、カウボーイやペンギン、ハリー・ポッターのキャラクターたちがストーンを巡りブラシを駆使して競い合うようになった。そこでクラブは衣装で注目を集めたチームにもトロフィーを贈ることにしたところ、エンターテインメント性は更に高まっていった。
大会の準備は12月中旬に始まる。公園の一角にプラスチック板で50×80フィートの外枠を作り、水を満たす。開催予定の2月上旬までに水が凍れば、屋外リンクの完成だ。
「全ては天候次第。私たちにとってハラハラドキドキの期間です」とラスパーダ委員長。気温が高くて氷が張らず、参加者から集めた参加費を返還しなければならなかったのは、これまでに1回だけ。完成したアイスリンクは冬の間、公共のスケート場として地域住民に利用される。
ラスパーダ委員長によると同大会では毎回、参加費とくじの売り上げで1万2000~1万5000ドル(約180~230万円)の事業資金を獲得。これらは地元の学校の生徒に対する奨学金や、困窮家庭の子どもたちの昼食支援などに充てる。更にクラブは会場で売店を運営し、その収益を地域で毎年恒例となっているセントパトリックスデーのパレードの主催団体に寄贈している。
ラスパーダ委員長は、イベントの楽しさに比例した、組織としての団結力や使命感の重要性にも言及。同様のイベントを検討中のクラブに対するアドバイスはこうだ。
「とにかく仕事量が多いので、良い人材と労働力を確保するようにしてください。それから屋外開催の場合は、ちゃんとリンクが凍るよう幸運を祈ることを忘れずに!」
2024.12更新(国際協会配信 文/アンネマリー・マニオン)