国際財団
より良い治療環境のため
小児腫瘍病棟の施設を改修
イタリア
イタリア・トリノにあるレジーナマルゲリータ小児病院の小児腫瘍(しゅよう)病棟は、50年以上にわたって重い病気の子どもたちに治療を提供してきた。この病棟には1989年以来、小さな命を救ってきた造血幹細胞移植部門がある。移植は、白血病、骨髄腫、リンパ腫などの特定の種類のがんの治療に用いられる。この病院では、毎年150人を超える小児患者が腫瘍科に紹介され、約30件の造血幹細胞移植が行われている。
移植を受ける子どもたちがたどるのは、厳しく、気が遠くなるような道のりだ。感染症に対して無防備な状態にある子どもたちは、身を守るために30~40日間隔離される。付き添いが許されるのは大人1人のみで、その他の人は通路の窓越しに音声通信システムを使って面会することが出来る。これは、隔離中に子どもたちが学校の授業を受ける方法にもなる。
最近まで、レジーナマルゲリータ小児病院の通信システムは時代遅れで頻繁に停止し、プライバシーもほとんどなかったため、訪問者の受け入れや教育指導を行うのが困難だった。更に、面会用通路は締め切った空間のため、直射日光が当たると熱がこもり、非常に居心地の悪い状態になることがあった。改善が必要だと認識した108-IA3地区のライオンズは、移植を受ける勇敢な子どもたちとその家族にとってより良い場をつくろうと、訪問者スペースをアップグレードすることを決定した。
ライオンズクラブ国際財団(LCIF)はこのプロジェクトを実現するために、2万1659ドルの小児がん補助金と3000ドルの地区およびクラブシェアリング交付金(DCG)を地区に提供。地区内の15を超えるクラブがプロジェクトのために総額1万3000ドルの資金集めに参加し、地区は小児腫瘍病棟への継続的な支援を約束した。
訪問者スペースをより快適な場所にすることを目的としたこのプロジェクトには、五つある面会スペースのそれぞれに最新のインターホンを設置し、コミュニケーションとプライバシーを強化することも含まれていた。更に、熱を防ぐために窓に日射保護フィルムを貼り、訪問者用の飲料を保管するために冷蔵庫を購入した。
ある親は、このスペースが闘病中の娘にもたらした変化について次のように述べている。 「娘は、治療中は学校の授業に出席出来なくなると悲しんでいましたが、医師から隔離ギャラリーでも授業を受けられると聞いて安心しました。また、ガラス張りの空間と音声通信システムのおかげで、彼女は兄や祖父母、親しい友人たちと面会することが出来ました」
患者、家族、友人、教育者を含む年間約180人が、この施設改修の恩恵を受けることになる。ライオンズとレオが思いやりを持って行動を起こす時、LCIFは交付金の提供を通じてその取り組みを前進させ、世界中でより多くの人にライオンズの奉仕による恩恵が届けられるようにする。
2024.07更新(国際協会配信 文/シェルビー・ワシントン)