海外の活動 信頼を生む
ダンスパーティー

信頼を生むダンスパーティー

デラウェア州ニューキャッスル郡ウィルミントンのエッジムーア地区は暴力犯罪が多く、決して治安が良い場所とは言えない。ベルフォンテ ライオンズクラブはそうした地域で、子ども向けのチェスクラブや自転車クラブを展開。また地域のゴミ拾いなどに子どもたちを参加させることで、ボランティアのすばらしさを伝えている。

ある時、同クラブメンバーであるダニエル・エルキンス元22地区ガバナーは、ニューキャッスル郡警察署のトレイシー・ダフィー巡査部長と面会する機会を得た。そして彼女の中に地域社会に対する献身的な姿勢を見いだし、即座にクラブに勧誘した。入会したダフィー巡査部長は情熱に加え、地域社会に大きな影響を与える可能性のあるイベントのビジョンを持っていた。それは、エッジムーア地区の少女たちを招いてダンスパーティーを開くこと。少女たちはきれいなドレスに身を包み、プリンセスのような扱いを受け、地元警察官らと一緒にディナーやダンスを楽しむ。「ポリス&プリンセス・ボール」と名付けられたこのパーティーは、2018年に第1回が開催された。エスコートされて入場し記念撮影を済ませた女の子たちに、入口に並んで出迎えたライオンズメンバーが白いカーネーションを手渡した。

イベントは回を重ねるごとに大きくなり、23年にはデラウェア州各地から少女120人と、警察官や自治体のリーダー、学校関係者なども参加した。ダフィー巡査部長は言う。
「普段は近寄りがたい組織の職員も、ここでなら少女たちとの信頼関係を築くことが出来ます。一緒に笑ったり踊ったりする中で、彼女たちは警察官も同じ人間であることを実感するのです」

ライオンズメンバーのミシェル・ドブソンと娘のマッケンジーは、このイベントが始まった時から毎年参加している。コミュニティーハウスを運営するミシェルは、ポリス&プリンセス・ボールのために寄付によって集められたドレスを配布するという重要な役割を担っている。

「最初、母からこのパーティーについて聞いた時は、『まあ、行ってみてもいいけど』って感じでした。でも参加してみると会場ではお姫様になったような気分になれて、魔法のような体験でした」
と、マッケンジー。彼女はレオメンバーとしてボランティア活動にも熱心に参加し、年少の子の指導を手伝っている。その中でも、子どもたちのライオンズやレオに対する信頼がパーティーを通じて深まったという実感がある。ライオンズとレオは、子どもたちと一緒に宿題に取り組んだり、絵を描いたりする新たな青少年プログラムも提供出来るようになった。

ポリス&プリンセス・ボールは地元警察を始めとする公的機関と市民との関係に大きな変化をもたらした。それだけでなく、奉仕というライオンズの使命をより多くの人々に示し、デラウェア州周辺のクラブの多様化にも貢献している。

2024.05更新(国際協会配信 文/ブレット・アームストロング)