編集室 咸じて臨む
ライオン誌日本語版委員 増澤義治
儒教の教典『易経』の中に「咸(かん)じて臨む」という言葉があります。
私が334-E地区ガバナー、334複合地区議長を仰せつかった時、スローガンに用いた言葉です。その意味合いは「上に立つ者と下に立つ者の両者が心で感じ合い、一致団結して事に臨んでいくこと」です。
1860年、勝海舟が日米修好通商条約の批准書交換のためにアメリカに派遣された時の船の名前が「咸臨丸」でした。日本国の威信がかかった大事業を、遣米使節員だけでなく船を動かす全ての者が心で感じ合い達成しようという意味を込め、命名されたものと思います。
この言葉をライオンズクラブに当てはめると、上に立つ者とは先人・先達・経験豊富なメンバーとなり、下に立つ者とは若人・新人・未来を担っていく次世代リーダーに当たります。ライオンズクラブでは上は90歳を過ぎた大先輩が活躍され、下は18歳から入会出来ることになっており、その間には70歳以上の年齢差があります。
クラブやゾーン、リジョン、地区などでいろいろな奉仕事業を行っていく中で、年を重ねたメンバーには豊富な人生経験で培った知識や知恵を伝えるなどの活躍の場があります。一方、若いメンバーには体力を発揮して活躍出来る場があり、将来のクラブ運営や地区・複合を背負って立つ金の卵でもあります。互いが認め合い、同じ方向に同じ歩幅で進み、それぞれの得意・不得意を補い合って協力し、一つの事業を成功に導いていく。それがライオンズクラブの在るべき姿だと思います。
ライオンズクラブは年齢差を超えて友好を深められるすばらしい組織であり、個の人格形成と人間的な成長に大いに役立つ場だと思います。そんな組織の一員として積極的に活動し、仲間を増やし、地域社会のために共にがんばろうではありませんか。
2024.03更新(ライオン誌日本語版委員/増澤義治<長野県・諏訪湖ライオンズクラブ>)