国際財団
変化へのビジョン
目の健康の課題に対処
パキスタン
パキスタンでは、57万人の成人が白内障による失明の危機に瀕(ひん)している。この国において白内障は、回避可能な病気であるにもかかわらず失明に至る要因となっており、視覚障がいを持つ人の51.5%が白内障を抱えている。更に、パキスタン国民の11.8%が2型糖尿病を患い、そのうち29%が糖尿病網膜症を発症しているというデータもある。糖尿病網膜症は、視力低下や失明の可能性がある目の疾患だ。パキスタンのライオンズはこれらの問題の深刻さを把握し、対処する必要があると認識していた。
305-N2地区(パキスタン)のライオンズは、カイバー眼科財団(KEF)の病院の設備を充実させ、白内障、未矯正屈折異常、糖尿病網膜症の診断・治療サービスを拡大するために、ライオンズクラブ国際財団(LCIF)から視力ファースト交付金13万1463ドルの提供を受けた。KEFは1998年に慈善病院として設立され、年間に約5万4000人の外来患者を診察、18回の訪問診察キャンプを組織して、5500人の白内障手術を行っている。糖尿病専門医による検査や指導を受ける患者は年間約8000人。更に、毎年約900人の緑内障患者を診察し、手術や局所点眼薬を用いた治療を施している。
KEFでは子どもたちが視力に問題を抱えることのないようにするため、幼児期から目の病気に対処することに力を入れている。6歳から10歳までの児童を対象に学校での検査プログラムを実施。このプログラムには、屈折異常などの目の異常を特定する視力検査や、眼鏡の無料提供、眼病や衛生管理に関する教育も含まれる。検査の結果、治療を必要とする子どもにはKEFでの受診を勧めている。
KEFには眼鏡を処方するための工房があり、2008〜16年の間に1万7118件の視力検査を実施して、1万2402個の眼鏡を配布した。また昨年白内障手術を受けた患者の80%に、良好な結果がもたらされた。ライオンズはこうした成果を更に拡大し、より多くの人々に奉仕したいと考えている。
LCIF交付金によって、ライオンズは眼科検査の実施、白内障、未矯正屈折異常、糖尿病網膜症の治療に必要な機器を購入出来るようになる。これには新しいアルゴンレーザーが含まれており、過去3年間実施されていなかった糖尿病網膜症患者のレーザー治療が再開されることになる。大きな影響をもたらすこの交付金を通じて、パキスタンのライオンズは多くの人々の失明を防ぎ、視力を回復させ、彼らに新たな機会を提供することが出来る。
2024.02更新(国際協会配信 文/シェルビー・ワシントン)