獅子吼
混迷の時代の
社会奉仕活動とは
坪川淳一(福井県・春江坂井LC)
世界中が4年近くもの間、新型コロナウイルス感染症に翻弄(ほんろう)されました。更に継続的な戦争状態にあるエリアを複数抱え、地球温暖化(沸騰化)、世界的規模での経済状況の不安定化など、さまざま問題が年々深刻度を増しています。このように先の読めない不安定な時だからこそ、私たちライオンズクラブの社会奉仕活動の必要性・重要性は一層高まり、また期待もされているのではないでしょうか。一方で、日本のクラブは恒常的な会員数の減少に頭を悩ませています。年々変化しているライオンズクラブの存在意義とその役割、ひいては社会奉仕活動の在り方について慎重に再考し、時代の流れに即した目的とニーズを受け止めて推し進めていく必要があると思います。
私はようやく入会7年目を迎えた会員歴の浅いメンバーですが、青少年育成副委員長に任ぜられたのを機会に、「いいね さかい!」という企画を提案させていただきました。地元坂井市では北陸新幹線福井開通を2024年3月に控え、外国や県外からの観光客に向けた商品開発等が進んでいます。山・海・里の豊富な食材が自慢の坂井市ですが、全国的に有名な観光名所や史跡・文化財などもあります。地域を盛り上げるためにライオンズも関わりたいと考え、食以外で市民が推す坂井市の誇れるものや自慢したいもの(=「いいね さかい!」)の写真を大募集することにしたのです。坂井市及び市教育委員会からも快く後援を頂きました。
軽減したとはいえ新型コロナのリスクが残る中、学校や公共施設にチラシなどの案内を置いてもらい周知を図りました。応募方法は、当クラブのホームページ上にある投稿フォームから撮影した写真を送信してもらうというもの。市民の皆さんにインスタグラムの投稿のような気軽な感覚で参加してもらえるのではないか、というもくろみは外れ、応募数はなかなか伸びませんでした。企画をどう進めればよいか議論し、例会の度に趣旨を説明し、その効果について話し合う過程を経て、ようやく多くのメンバーの理解と協力を得られるようになりました。メンバーの持つ組織力とSNSなどの発信力が結集されて初めて、多くの人に応募してもらえるようになったのです。最終的な応募作品数は、想定を上回る487点に達しました。12月10日の表彰式では、年末の多忙な時期にもかかわらず出席してくれたメンバーの充実した表情を見て、達成感を感じることが出来ました。期せずして、来年度以降もこの活動を続けていこうという機運が高まっています。継続事業になるかは未確定ですし反省点もありますが、初めての試みとしては良かったのではないかなと思っています。
実は今回の取り組みの副産物として、クラブのホームページへの市民の皆さんからのアクセス数が飛躍的に伸びました。奉仕活動の趣旨や内容の理解促進にもつながっているように感じます。市民の皆さんとの信頼関係と絆を深めるためのツールが、また一つ開拓されました。
ライオンズクラブが取り組む社会奉仕活動は、市民の幸福度を高め、地域社会がより良く発展していくことにつながります。と同時に、私たち自身にとっても「人として成長するために必要な経験」となり、人間力を高め、他者と心をつなぎ、「思ってもみなかった自分に出会える喜び」を与えてくれていることは疑う余地もありません。今回の活動は、私たちライオンズは利他の精神を常とし、社会的弱者の立場に寄り添い、次世代を担う若者を支え、行政や諸団体(地区組織、学校、各種協会等)と手を取り合って協働し、共生社会の創造に寄与していくことが大切だと、改めて認識する機会となりました。
(青少年育成委員会副委員長/16年入会/68歳)
2023.12更新