投稿リポート 美しい日本語
暗唱コンテスト

美しい日本語暗唱コンテスト

秋も深まった10月29日、松山つばきライオンズクラブ(氏兼泰子会長/56人)は愛媛ケーブルテレビの5階大会議室で、継続事業の「第19回─語り伝えたい─美しい日本語暗唱コンテスト」を開催した。愛媛県と松山市の教育委員会、そしてマスコミ各社の後援を得ているこのコンテストは、当クラブにとって重要な奉仕事業の一つである。今年も7月に、教育委員会を通じて市内の小学校53校、中学校29校に案内を届けた他、会員たちが直接、小学校9校、中学校13校、高校8校を訪問して出場を依頼。またクラブのホームページにも掲載し、一般市民の参加も募った。

この事業の目的は、少子化が深刻な現代、次世代を担う子どもたちの健全育成と、地域の大人による言葉の文化を通じた育成支援にある。私たちは、コンテストを通じて子どもたちが時代のニーズに合った言語能力やコミュニケーション能力を向上させることを期待している。暗唱は、小説、童話、詩歌、エッセイ、民話、古典などから好きな作品を選んで、4分間以内で行う。今回は小学生の部、中学生の部、高校生の部、一般の部に計48人が参加。一般の部には県外(なんと埼玉県!)からも応募があった。今年は新型コロナウイルス感染症が5類に移行したため引率の先生や保護者なども大勢来場し、会場内は明るく活気にあふれていた。コンテストの始めに「笑いトレーニング」で気分を一新したせいか、子どもたちの暗唱は更にレベルアップ。一般の方の熱唱にも大いに刺激を受けたようだ。

コンテストを継続していて印象的なのは、題材の選び方が時代を反映していることだ。新型コロナというこれまで経験したことのない感染症が発生し、明確な対処方法が見えない中で死を身近に感じた2020年、コロナ禍中で自由を奪われた21年、新型コロナが収まりつつある兆しを感じた22年と、その年ごとの色が感じられた。新型コロナが5類に移行、物価高に見舞われ、世界が戦争を止めることが出来ずにいる今年は、小説『坊ちゃん』(夏目漱石)や『火花』(又吉直樹)、『ショートショート千夜一夜』(田丸雅智)、児童書の『ロボットインザガーデン』(デボラ・インストール)、『小説 君の名は。』(新海誠)などを題材とした暗唱があった。

審査は、テレビ局社長、大学学長、元アナウンサー、元中学校校長、「笑いヨガ」の指導者など、個性豊かな方々にお願いしている。今年も審査員たちは、発声や発音、表情、動作、迫力満点のアピール、内容の理解や感情表現、情熱など、いずれもすばらしく甲乙付けがたいと、頭を悩ませていた。当クラブからは賞状とトロフィーを各部門の受賞者に、副賞の図書券は賞に応じた金額で参加者全員に贈呈した。美しい日本語暗唱コンテスト出場者は満足感に満ち、客席も感動の笑顔にあふれていた。松山つばきライオンズクラブはこれからも、この事業に一層力を入れていきたい。
 
2023.12更新(幹事/村井淳子)