投稿リポート 支援の輪をつなげ
ひとり親世帯向け食料支援

支援の輪をつなげ ひとり親世帯向け食料支援

函館東ライオンズクラブ・函館東こどもサポートクラブ支部(前田貴子支部会長/8人)は、函館市内のひとり親世帯を対象に食料支援を実施している。新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっていた当時、北海道では多くの学校が臨時休校となった。子どもが家で1日3食を食べることで、一気に米の消費量は増加。先行きの見えない新型コロナの状況は、一家の働き手であると同時に家事や子どもの世話を一人で担っている親の不安を増大させた。ひとり親へのアンケートを実施したところ、「食費を切り詰めている」という回答が全体の半数近くに上り、自由回答では「お米の減り方がすごい」「自分は1日1食にして子どもに食べさせている」といった声もあった。

函館東こどもサポートクラブ支部は、2020年2月に移動型のこども食堂運営を目標に結成されたが、アンケートの結果を受けて当面はひとり親世帯向けの食料支援にシフトすることを決定。同年8月からこの活動を続けている。学校給食がなくなる夏休みや冬休みの時期には150~200世帯に米などの支援を、それ以外には月平均20世帯に食料支援を行っている。周知方法としては、函館市の部署である子ども未来部の協力により、市がひとり親世帯約3600件に封書を送る際に食料支援のチラシを同封してもらう。市からの郵送物に入っていることで信頼され、多い時には申込件数が提供出来る数の2~3倍になることもあった。当初は新型コロナが落ち着いたら食料支援を終了してこども食堂にシフトしようと考えていたが、回を重ねるごとに認知度が上がり、またひとり親世帯の生活・就労状況がコロナ前に戻ったとも言いがたいため、しばらくはこのまま継続することにした。

最初の頃は食料を集めるのが大変で、頼れるつてもない中、とにかく周囲に伝えることで支援のきっかけを模索した。まずは知り合いの農家、趣味で畑仕事をしている人などに協力を求め、やがて農協や近郊市町の農家、そして市内に出来たフードバンクと連携出来たことにより手探りの状態で支援が始まった。コロナの感染を防ぐため、会場ではドライブスルー方式で食料を渡したり、車がない人や家を離れられない人のために自宅へ配達したりもした。少しずつ支援の輪が広がり、行政書士会の周年行事として大量の米の提供や、こども食堂北海道ネットワーク経由で吉野家から牛丼の提供、企業からクリスマスケーキの寄付などを得られるようになった。支援対象もひとり親世帯だけでなく、アルバイトがなくなり実家からの仕送りも止まった大学生などの困難な状況にある人にも広げられるようになった。また今夏は函館市内にある九つのライオンズクラブから合同奉仕として米が提供され、夏休みの大量支援を実施出来た。現在は市内スーパーマーケットが実施するフードドライブ(家庭で余っている未開封・賞味期限内の食品を集め、支援団体などに寄付する活動)の協力も得て、登録したひとり親向けに毎月これらを提供している。

新型コロナを契機に始まった食料支援は、3年半が経とうとしている。支部が単独で続けるのは難しいが、親クラブや他のライオンズクラブに加え、行政や団体・企業・個人の理解と協力のおかげで地域社会に貢献出来ている。これからも必要とされる限り、支援活動を継続していきたい。
 
2023.11更新(函館東ライオンズクラブ計画委員・支部連絡員/荒木明美)