海外の活動 多岐にわたる食料支援事業
アメリカ・バージニア州
バージニア州ウィリアムズバーグにある非営利団体FISHは、経済的に苦しい状態にある人たちに食料品や衣料品などを提供するフードパントリーを運営している。2023年1月にここを利用した人の数は、過去10年間で最多を記録。翌2月は前年同月の2倍に増えた。この1年間に食料品は1割ほど値上がりし、卵の価格は1.5倍に高騰。光熱費も依然高止まりしているのが、その要因だ。
請求書の支払いをするか家族の食べるものを買うかという、苦しい選択を迫られる家庭が増えている。 これはウィリアムズバーグを活動域とするジェームズシティー ライオンズクラブにとって、これまでも力を入れてきた食料支援事業が更に重要度を増したことを意味している。これまでのクラブの取り組みは、感謝祭やクリスマス、イースターといった特別な日に、支援を必要とする家庭にディナーを届けるホリデーバスケット・プロジェクトだったが、需要が高くなるにつれ、活動はさまざまな形で派生している。
昨夏、ジェームズシティー ライオンズクラブ会長としての任期を終えると同時に、FISHの新会長に就任したジャック・トロッターは言う。
「人々はFISHに来たいわけではありません。必要なものが足りていれば来る必要はないのです。しかしニーズは増加しており、私たちは毎日それを目にしています」
FISHを通じた食料の配布量は増加している。これに対応するために、FISHはバージニア半島のフードバンクを今まで以上に有効利用しようとしている。このフードバンクに食料を仕入れに来る人のうち8人中7人は、ジェームズシティー ライオンズクラブの会員だという。彼らは50kmほど車を走らせてやって来て、毎月平均1トンの冷凍肉や野菜などを調達する。
クラブの会員でウィリアムズバーグの慈善団体の役員も務めているスティーブ・ゴーンは、多くの家族が食料を備蓄するための手伝いや、毎月数百人が集まる陸軍のフードドライブで食料の入った袋を車に運搬するなどしている。
「おそらく多くの人が想像する以上にニーズは大きい。私は退職した今、恩返しのつもりでボランティア活動をしています。 他者を支援出来るだけの余裕と、奉仕の機会を私に与えてくれた神に感謝しています」
またライオンズの別のグループは2021年から毎日、在宅の高齢者220人に温かい昼食を届けている。パスタや煮込み料理、豚肉、チキンなどさまざまなメニューがあり、一番人気はミートローフだ。他にも、学校の夏休み中に、子どもたちに袋入りのランチを届ける他組織の活動に協力する会員も多い。ジェームズシティー ライオンズクラブでは、今年は少なくとも225人の子どもたちに週5日昼食を届けることを目指している。
2023.07更新(国際協会配信 文/ジョーン・ケアリー)