投稿リポート 4年ぶりの
マングローブ植栽

4年ぶりのマングローブ植栽

岡崎市と沖縄県石垣市は1969年に親善都市となった。そして岡崎南ライオンズクラブ(田中正実会長/110人)と石垣島にある八重山ライオンズクラブ(前里和江会長/72人)もまた、1971年に姉妹提携を結び交流を続けている。5月20日には当クラブから田中会長始めメンバー23人が石垣島を訪れ、合同継続事業となっている名蔵湾でのマングローブ植栽に参加した。新型コロナウイルスの感染拡大以降、八重山ライオンズクラブ単独の実施となっていたが、4年ぶりに一緒に行うことが出来た。

30年ほど前、名蔵湾にあった豊かなマングローブの森が、護岸工事のために伐採されてしまった。一度破壊された生態系は、自然の力に任せているだけでは簡単には元に戻らない。そこで1990年、八重山ライオンズクラブは名蔵湾に昔のような緑を取り戻そうと、マングローブ植栽事業をスタートさせた。岡崎南ライオンズクラブも初回から参加し、毎年5月から6月に一緒に汗を流している。今回は、八重山ライオンズクラブのメンバーが2年ほど前に種を採取して育てたヤエヤマヒルギの苗約400本を植栽した。

マングローブとは、熱帯・亜熱帯地域の淡水と海水が混ざり合う汽水域で群生する常緑樹の総称。ヤエヤマヒルギは沖縄本島以南に分布する日本産の高木で、八重山地域に多く自生し、マングローブの中でも特に塩分に強いため主に河口域で育つ。ただ、護岸工事で海岸の形が変わってしまったことなどから名蔵湾は波や風の影響を受けやすく、苗を植栽しても育つものは1割に満たないのが現状だ。植栽を始めた当初は苗をそのまま植えていたので更に活着率が低く、植えた翌日に大雨が降ってほぼ全てが流されてしまったこともあった。

そこで13年ほど前、当クラブの田中会長が発育を補助するために竹の杭を添木にする方法を考案した。以来、年間600本ほどの竹の杭を岡崎から八重山ライオンズクラブへ送っている。なぜ現地の竹を使わないのかと思われるかもしれないが、実は石垣島には竹がない。木の杭では根が十分に育つ前に腐ってしまうため、丈夫な竹の杭を作って毎年輸送しているのだ。今年は更に工夫を重ね、ヒルギ2~3本を束ねた上で竹の杭を添え木にすることで、活着率を上げる方法を試みた。他にも、数年で自然に戻る不織布の利用や、苗を竹筒に入れて育てそのまま植栽する方法などを八重山ライオンズクラブと共に検討している。

今回当クラブからは、コロナ禍中に入会した新会員も大勢参加した。約2時間かけて苗400本を植栽した他、以前植えた苗に絡み付いていたゴミなどを除去。また苗にくっついて栄養を吸い取り枯らしてしまう巻き貝やフジツボを取り除く作業を行った。当日の作業は数時間だが、八重山ライオンズクラブの皆さんがそのための準備にかける時間や手間は大変なものだ。実際に現地に足を運んで自分たちで手がけることで、その苦労がよく分かるし、マングローブへの思い入れも生まれる。それが、長年にわたって交流が続いてきた要因の一つだと思う。来年も石垣島を訪問して共に植えたヒルギの成長を確認し、また新たな苗を植えて、一日も早くマングローブの森が復活するように励みたい。
 
2023.05更新(幹事/荒川貴夫)

●関連記事
「子どもが主役 スプリングフェア開催」岡崎南LC(2023.05更新)
「LCIF交付金でタイへ医療機器を寄贈」岡崎南LC、幸田LC(2020.06更新)
「岡崎市内全小学校へマスクと消毒液を寄贈」岡崎南LC(2020.04更新)
「子どもたちを守りたい!薬物乱用防止シンポジウム」岡崎南LC(2019.09更新)
「年10回超の施設訪問をする結成47年のホットな楽団」岡崎南LC(2019.08更新)