獅子吼 障がい者スポーツについて

障がい者スポーツについて

障がい者スポーツというと多くの人がまず思い浮かべるのは、主に身体障がい者を対象としたパラリンピックかもしれません。一方、知的障がいのある人たちにさまざまなスポーツトレーニングの機会を提供し、その成果の発表の場として競技会を開催しているスペシャルオリンピックス(SO)という団体があります。SOは1962年にアメリカで産声を上げ、日本では1990年代初めに団体が発足し現在に至っていますが、認知度を向上させ、全国に活動を広げるには、たくさんの苦労があったことと推察します。

知的障がいを持つアスリートたちは、さまざまな競技を心から楽しんで行っています。私の次男も発達障がい、知的障がい、自閉症アスペルガーなどの症状を持つ障がい者です。現在25歳ですが、たまたま妻の職場の方からスペシャルオリンピックス日本(SON)のフロアホッケーという競技を紹介されて参加するようになりました。SOには夏季スポーツと冬季スポーツがあり、2022年11月には広島で夏季大会が開催されました。2024年第8回スペシャルオリンピックス日本冬季ナショナルゲームは、23年11月と24年2月に長野市と名寄市で順次開催されます。現在息子は、この冬季ナショナルゲームに向けて練習に励んでいます。

ナショナルゲームはオリンピックと同様に4年に1回開催され、その翌年に行われる世界大会の日本選手団の選考を兼ねています。2020年冬季大会は北海道を舞台に行われる予定で、アスリート、保護者共にとても楽しみにしていましたが、新型コロナのまん延により、大会開会の数日前に中止が決定されました。非常に残念ではありましたが、知的障がいのある人がコロナに感染した場合、症状を的確に説明出来ずに重症化するリスクも高くなることから、中止もやむを得ないと納得しました。

私の息子が取り組んでいるフロアホッケーは体育館で行う屋内スポーツです。アイスホッケーと同様に全身に防具を着け、フェルト製のドーナツ型パックの穴にスティックを差し込んで動かしたり投げたりしてドリブルやパス、相手ゴールへのシュートをします。練習には、地域の小学校や企業のご厚意で体育館などの施設を使わせてもらっています。競技の指導に当たるのは地域の支援学校の先生がほとんどで、練習や大会の引率などもボランティアでされています。また指導者になるにはSOのインストラクターの資格が必要なため、3日間の講習を受けなければなりません。本当に頭の下がる思いです。

日本のライオンズクラブでも組織全体としてはSONへの支援をしていますが、クラブレベルでは温度差を感じています。SOをご存じない方も少なからずおられるようです。とはいえ、知名度は低くても、アスリートたちの思いはパラリンピアンにも負けていません。大会が近付くと健常者と同様、モチベーションが上がり、「勝ちたい」という思いが強まって、実戦形式の練習も熱を帯びてきます。このように知的障がいを持ったアスリートたちはスポーツを楽しみ、また家族も楽しんで見守っています。

しかしながら、その運営にはまだまだ支援が欠かせません。ライオンズクラブの支援、また企業経営者の理解と協力が更に必要だと考えます。福岡博多中ライオンズクラブもここ数年は、毎年のように奉仕事業として支援を続けており、私個人としても大変感謝しています。こうした活動がより良い社会、地域づくりにつながり、利己主義ではなく利他の心を持ち、全ての人が幸福を感じられる世の中になることを切に願います。
(会員委員長/12年入会/57歳)

2023.04更新