編集室 思いやりの心

思いやりの心

長びくコロナ禍に加え気候変動やロシアによるウクライナ侵攻等により、奉仕の形や経済活動も変化していますが、ともすれば忘れがちだった本当に大切なものは何かを気付かせてくれるきっかけにもなりました。このような中「利他」という考え方が世界中で注目されています。

仏教の教えに「忘己利他(もうこりた)」があり、日本に天台宗を広めた仏教大師最澄は「己を忘れて他を利するは慈悲の極みなり」と説いています。しかし、今日の社会では他者のことを考えるのは損という価値感が固定化され、他者と共に生きる存在である人としての本能が抑制されているのではないかと思われます。

何かの折、他の人のために「思わず祈った」という経験は、誰にでもあるのではないのでしょうか? 日頃意識しなかった他者とのつながりの中に自己を見つめ直しながら、一日のある瞬間だけでも利他的に生きる。「利他」の実践にはさまざまな方法がありますが、いつでも、どこでも、誰でも出来ることは、誰かに温かい言葉をかける、話を聞いてあげるといった、ごく素朴で日常的な行動ではないでしょうか。

周りの誰かに温かい言葉をかけてみませんか?

2023.03更新(ライオン誌日本語版委員/藤谷文雄<秋田県・大曲ライオンズクラブ>)