投稿リポート 一歩一歩
SOを軸に奉仕活動を展開

一歩一歩 SOを軸に奉仕活動を展開

奄美大島ライオンズクラブ・パッソ支部は2019年6月、「奄美の子どもたち、若者たちのために、何か出来ることをやりませんか」という渡悦美支部会長の呼びかけに応えて集まった5人によって誕生した。パッソとは、イタリア語で「歩み」「足取り」といった意味。当初は奄美大島碧(あお)レオクラブによる災害支援や清掃活動等のサポートを通じてレオ・メンバーの成長を見守る活動を中心にスタートし、しばらくはそれ以上のアクションはなく過ぎていった。

状況が展開したのは、ある支部メンバーの配偶者が大学時代にスペシャルオリンピックス日本(SON)鹿児島のスポーツプログラムでボランティアをしていたことから。これを知った親クラブが、支部の活動としてやってみないかと勧めてくれた。スペシャルオリンピックス(SO)とは、知的障がいのある人たち(アスリート)にさまざまなスポーツトレーニングとその成果の発表の場である競技会を、年間を通じて提供している国際的なスポーツ組織だ。奄美でも、スポーツをしたくても障がいがあることで参加出来る場が限られている子どもや若者たちが大勢いると知り、「やってみよう!」ということになった。

SO関連事業に取り組むに当たり、レオ・メンバーと共に、実技でバドミントンの技術やルールを学び、座学でアスリートの特性について理解を深め、SOの歴史や理念、競技会のシステムについて学んだ。そしてSOではアスリートが参加出来る大会の場が地区にとどまらず、全国へ、更に世界へと開かれていることを知った。

私たちは、SOを通して知的障がいのある人たちが幅広く社会参加する機会を得て、互いに個性を認め合い、得意なところは生かし、不得意なところは助け合うことで、自分の中の可能性を引き出すきっかけになると考えた。まずその一歩として、2020年12月にSON鹿児島のスポーツトレーナーの島田龍太郎氏を迎えて、奄美で初のSO体験プログラムを開催。当日はアスリート7人が、パッソ支部と奄美大島碧レオクラブ、奄美高校レオクラブのボランティアのサポートの下で、バドミントンに汗を流した。その時のアスリートたちの笑顔、その家族からの温かい言葉、そしてレオたちの頼もしいサポートに励まされ、私たちは23年4月にSON鹿児島・奄美支部を設立することを目標に定め、コロナの状況を考慮しつつ自主プログラムを行っている。今年10月には支部メンバーがSOの認定コーチの資格を取得し、よりフットワーク軽くSOの活動を行えるようになった。

パッソ支部は現在、地域振興、医療・福祉、スポーツ・教育に関心を持つ、志の高い女性メンバー5人で活動している。ごく普通の生活者である私たちが会費を捻出して行うボランティアなので、やるからには私たちの奉仕を最も必要としている人たちに届けたいという思いで常に活動している。渡支部会長の下、各自の個性を生かしながら同じ方向を向いて歩んでいける仲間がいるのはうれしい限りだ。パッソの名の通り一歩一歩、熱量をもって、SOの活動を軸にしつつ奉仕の無限大の可能性を模索していきたい。

2022.12更新(支部会計/田畑しのぶ)