投稿リポート 佐渡金銀山の古道整備と
世界文化遺産登録

佐渡金銀山の古道整備と世界文化遺産登録

佐渡ライオンズクラブ(林浩一郎会長/46人)は8月21日、佐渡金銀山の一つ、鶴子(つるし)銀山の古道の整備に汗を流した。午前9時半に山中の駐車場に集合。2人1組となって、各自が持参した草刈り機とノコギリで古道に生い茂った夏草や立木を刈り取った。

1542年に発見され1946年まで採掘が続けられた鶴子銀山は、尾根を挟んで北に位置する日本最大の相川金銀山(1601年発見)よりも古い歴史がある。その鶴子銀山からふもとの沢根港まで鉱石を運び出すために、古道は設けられたという。急峻(しゅん)な沢を右手に下る道の幅は、狭い所で3mあるかどうかだ。

佐渡島では20年以上前に、金銀山の世界文化遺産登録を目指す動きが生まれた。そして2021年12月、ようやく念願の国内推薦が得られ、順調にいけば23年に登録審査を受けられるという見通しになった。しかし今年2月、政府が提出した申請書の不備が国連教育科学文化機関(ユネスコ)から指摘され、登録は早くても24年となってしまった。地元佐渡市民、新潟県民の落胆は大きい。

そうした中で、当クラブとして何が出来るのかを考えた。そして微力でも粘り強く遺産に関心を持ち続けることが重要であり、そうした気持ちを形に示すものとして環境美化に取り組むことにした。今回の古道整備は、前年の相川地域のカーブミラー清掃に続く第2弾である。今秋に予定されている古道トレッキングの参加者に、歴史のロマンに浸りながら足元を気にせず安心して歩いてもらえるよう願い、作業を行った。

この数年、新型コロナの感染拡大で人の流れが大きく変わってしまった。観光を産業の柱とする佐渡でも、大きな打撃を受けている。仏教用語に「無常」という言葉がある。この世の一切のものは常に生滅流転(しょうめつるてん)して、永遠不変のものはないという意味だそうだ。コロナはいつか必ず収束する。その頃には佐渡金銀山が世界文化遺産となっていて、国内外から多くの人が訪れる。そんな日が来ることを期待してやまない。

2022.09更新(監事/中川康夫)