投稿リポート 大きく育て!
小学生と稚魚を放流

大きく育て! 小学生と稚魚を放流

富山雷鳥ライオンズクラブ(内野忠会長/47人)は4月26日、富山市立熊野小学校の4年生約60人と一緒に熊野川でサクラマスの稚魚を放流した。今回で7回目になるこの事業は、子どもたちに川の水質浄化や環境保全の大切さを教えると同時に、サクラマスの回帰性など自然の仕組みを理解してもらうことを目的としている。残念ながらこの2年間はコロナ禍で実施出来ずにいたが、熊野小学校から「今年は何とかして実現してあげたい」という要望があり、我々の希望と一致した。この日放流するために、子どもたちは毎日稚魚の世話をして大切に育てているという話も聞いた。

当日は朝9時頃から、放流場所の堤防沿いにクラブ・メンバーが集まり準備を開始。近隣宅には事前に1軒ずつ訪問し、また留守宅には手紙を入れて事業の内容や当日の駐車等について説明し了承を頂いていた。先発隊がライオンズクラブののぼりの組み立てや、駐車場整理といった作業を開始。小学校からはバスが2往復して児童を送迎したのだが、乗降口を設置出来たのが現場の400m手前だったため、道路を歩かなければならない区間はライオンズ・メンバーが付き添って安全を確保した。

この日の天気は、朝のうちは晴れるが正午には雨が降り始めるという予報だった。学校側とも相談し、雨が降る前に終了出来るようにと予定を30分前倒しして9時半に開始することにした。これがズバリ的中し、終了と同時に降り始めた。雨天の場合は翌日に順延ということも考えていたのだが、この雨は翌日には豪雨となり、河川は増水した。後日先生方と共に、わずかな晴れ間に実施出来た幸運を大いに喜んだ次第である。

放流時には児童らが育てていた稚魚を一緒に放流したのだが、実はあるクラスで当日まで生き残っていたのは6匹で、しかもそのうち1匹は現地への移動中に酸素不足で死んでしまった。別のクラスでは、放流の数日前までに全滅してしまったそうだ。生き物を育てるのは本当に難しいものである。この貴重な5匹と併せ、今回は3000匹を放流した。漁業協同組合によると、成長して川に戻ってくるのはわずか3~4%とのこと。つまり90~120匹になってしまう。しかしその90匹のサクラマスが、また命をつなげていく。子どもたちには命の大切さ、尊さ、そしてはかなさも体験してもらえれば幸いである。

当日は近所の人たちも放流を見に来てくれて、楽しい時間を共有することが出来た。今後もこの事業を継続していく中で、1匹でも多くのサクラマスが元気に熊野川に戻ってきてくれるように、そして子どもたちが健康で幸せな人生を送れるようにと祈るばかりだ。

2022.05更新(青少年育成委員長/辰本隆俊)