投稿リポート
"生き直す"をテーマに
依存症を知る講演会開催
広島県・福山南ライオンズクラブ
#人道支援
福山南ライオンズクラブ(岡俊江会長/67人)は毎年、福山市内の小中高校生を対象に薬物乱用防止教室を開催し青少年育成や社会福祉に取り組んでいる。昨今は以前からあった問題にコロナ禍の閉塞感やストレスも加わり、生きづらさから薬物だけでなく、ギャンブル、ゲーム、ネットなどへの依存も増加していると聞く。そうした中で、私たちを取り巻くさまざまな依存性のあるものをよく知り、どう対応していけば良いのかを学ぶ必要があると考えた。そこで3月13日、クラブ・メンバーが所属する依存症関連の任意団体との共催で、「生き直す」をテーマとした講演会「依存症って何? 薬物・ギャンブル・ゲームネットの巻」を開催した。
講師には、香川県高松市にある三光病院の海野順院長、NPO法人ギャンブル依存症問題を考える会の田中紀子代表、俳優の高知東生氏の3人をお招きした。香川県は2020年、日本で初めてネット・ゲーム依存症対策条例を施行し、18歳以下を対象にゲームやスマートフォン等の利用時間を制限している。三光病院にはネット・ゲーム専門の依存症外来がある。田中代表はギャンブル依存症についての啓発活動や予防教育を通じて、当事者やその家族の苦しみからの解放と社会問題の減少を目指し、全国で講演などを行っている。高知氏は2016年に薬物所持で逮捕されたが、現在はアルコールや薬物の依存予防に取り組むNPO法人ASKの依存症予防教育アドバイザーとして活動している。
講演会では医療・家族・当事者それぞれの立場から、「依存症とは何か?」「依存性のあるものにどうしてはまってしまうのか?」「誰もが生き直せる社会とは?」など、臨床や体験に基づいた話をしていただいた。クラブ・メンバーが経営する福山ニューキャッスルホテルを会場にオンライン会議システムZoomとのハイブリッド方式で、北は北海道、南は九州から依存症に苦しむ人や回復者とその家族、市議会議員、保護司、民生委員、保健師、医療・行政・学校関係者、経営者、麻薬取締官など、多種多様な立場の方々約200人が参加した。「依存症は誰でもなりうる病気」「治癒はしないが回復し続けることで生き直すことが出来る」「困った人は困っている人」「生きづらさを紛らわせるために依存し生きながらえてきた」といった話から、この学びを通じて人と人との絆やつながり、協力し合うことの大切さが伝わり、自分たちに何が出来るかを考えながら聞いたという人がとても多かった。まさに岡会長のスローガン「絆を大切に、力を合わせて」が生きた講演会だった。
筆者自身もアルコール依存症からの回復者であり、厚生労働省の依存症啓発事業にも参加、高知氏のYouTubeチャンネルにも出演している。ご覧いただき少しでもお役に立てば幸いである。福山南ライオンズクラブはこれからも薬物乱用防止に取り組み、小さな輪が大きな輪に広がっていくことを願い、多くの人に依存症の正しい知識を伝えていく。
2022.05更新(青少年育成・環境保全・LCIF委員会副委員長/上堂薗順代)