投稿リポート 命の門番
ゲートキーパーを支援

命の門番 ゲートキーパーを支援

6月6日、甲州富士山ライオンズクラブ(21人)はクラブとしては新たな試みとなる、自殺予防のために活動するゲートキーパーの方々を支援する事業を行った。

昨年、中学校の女子生徒が自ら命を絶ってしまう事件があった。理由は今も分かっていない。残されたご両親の心中は想像を絶するものだ。その心に寄り添って元気付けようとしても、言葉が見付からない。

また非常に残念なことも起きている。それは、遺族に偏見が向けられ、心ない発言や言葉の暴力によってつらく悲しい日々を過ごしているということだ。こうした状況を見て、亡くなった女子生徒の友人らが中心となって「Kプロジェクトチーム」を立ち上げた。兆候を察知し、適切な対応を取ることで自殺を止めるゲートキーパーの人たちを集めてご両親を支えると共に、同じような境遇の人を出さないようにするためのチームである。同時に、笑顔のすてきな女の子が確かに生きていたことを忘れずにいようという友人たちの決意も込められている。そんな中、当クラブに支援の要請があり、メンバー全員で何が出来るのかを検討。協力を約束した。

Kプロジェクトチームは悩みや問題を抱えた子どもたちが学校以外で学べる場を提供したり、ゲートキーパーの人たちと交流して相談したり出来る居場所を作ろうと考えている。その第一歩としてサツマイモの苗植え体験会を企画した。悩みがある子どもたちにゲートキーパーの存在を知ってもらおうという狙いだ。学校の協力によって、小さい子どもの参加者も増えた。

50人ほどを想定していた参加者数はどんどん増え、最終的には100人を超える人がこの苗植え会に参加した。地域の他団体のメンバーや企業経営者にもメンバーが声がけをし、Kプロジェクトへの協賛を募るなど、クラブの枠を超えてプロジェクトへの協力をお願いした。手探りで始めた交流会だったが、解散後、ご両親に少しではあったが笑顔が見られたことに安堵(あんど)した。

若手メンバーからは動画を用いた自殺予防等のセミナーを専門家に依頼し開催したらどうか、という意見が出るなど、クラブ内の意識も高まったと思う。まだまだ可能性が広がっているこの事業。次回11月にサツマイモの収穫祭でゲートキーパーとの交流を行う予定だが、今回の反省点を生かし、更に多くの人にとって有意義な時間にしていきたい。

最後に、この事業を通して自殺予防や対策、残された遺族の苦悩、ゲートキーパーという存在について深く考える機会になった。決して簡単ではないこのテーマに、ライオンズクラブがどのように関わっていくべきか、メンバー一同で支援の在り方を真剣に話し合ったことは今後のクラブ活動を進める上で非常にプラスになったと感じている。今後もクラブ・メンバーはもとより、多くの賛同者と共に支援の輪を広げていきたいと思っている。同じような悲しい出来事が二度と起きないよう、ライオンズクラブとして出来ることは何なのか、今後も模索しながら活動を続けていく。

2021.06更新(会長/小松英一)