投稿リポート 洲本の名勝
"千本黒松"再生事業

洲本の名勝”千本黒松”再生事業

淡路島にある兵庫県洲本市は、江戸時代初期から徳島藩支城洲本城の城下町で、島の政治経済の中心として繁栄してきた。1526年に築城された洲本城は、1928年に鉄筋コンクリート製の模擬天守に生まれ変わった。これは模擬天守としては日本最古のものである。

この洲本城の東に広がる大浜海岸はかつて約1000本の松が生い茂り、大阪湾屈指の白砂青松(はくしゃせいしょう)の浜として知られていた。夏には島内外から大勢の人々が海水浴に訪れ、季節を問わず市民の憩いの場所として親しまれてきた。しかし、この半世紀余りの間に松食い虫や台風、気候の温暖化などで急速に松の本数が減少。その美しい景観も過去のものとなりつつあった。

そこで、立ち上がったのが洲本ライオンズクラブ(54人/2021年5月末現在)である。2001年3月14日、後藤忠毅会長期にクラブ結成40周年記念事業として黒松58本の植樹と記念碑の設置を行った。それからもクラブでは「千本黒松」再生事業として植樹を続けている。

今年は5月12日に60周年記念事業の一環として植樹を行った。当初は関係者に参加してもらい、植樹を行う予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言延長の影響で、急きょ行事内容を変更。感染防止を徹底した上で山林正育会長ら少人数が行うことにした。

今回の植樹により、当クラブがこの浜に植樹した黒松は計189本となった。だが、残念なことに黒松の減少を食い止めるには至っていない。2000年には約800本あった黒松が、現在は約700本となってしまっている。後世までこの美しい浜を残すべく、洲本ライオンズクラブは活動している。いつか、「千本黒松」が文字通り1000本になるよう、地道に植樹を続けていく予定だ。

2021.06更新(奉仕委員長/酒井一成)