投稿リポート 未来へ羽ばたけ
高校生の英語弁論大会

未来へ羽ばたけ 高校生の英語弁論大会

大分ライオンズクラブ(上野貴士会長/58人)は1月26日、大分市のコミュニティセンター・J:COMホルトホール大分において、「第10回大分ライオンズクラブ英語弁論大会」を開催した。本大会は当クラブが2011年から毎年実施してきた青少年育成事業で、大分市内の高校1、2年生から出場者を募集し、生徒は自ら考えたテーマで英語のスピーチをする。普段から英語教育に携わっている審査員が審査をし、最優秀賞に選ばれた生徒は副賞としてライオンズクラブが主催する青少年及び交換(YCE)プログラムの海外派遣生に推薦されると共に、渡航のための助成金が授与される。

例年は7月に開催してきたが、今期は新型コロナウイルス感染症の影響から2020年内の開催を断念。21年1月に変更し、感染対策を万全にした上で、オンラインではなく実際にホールに集合して開催することを決定した。集合にしたのには、次の理由がある。英語学習や海外留学に興味を持っている高校生にとって本大会は恒例行事と受け止められており、開催を楽しみにしてくれていること。またコロナ禍で集合形式のイベントが軒並み中止となり、生徒たちの表現の場、学習成果発表の場が失われている現状に対し、クラブとしても危惧の念を抱いていたからだ。そしてプロミュージシャンのコンサートや学術会議等にも使用される大ホール(座席数1201)での開催を決めたのには、「密」を避けるという目的もあるが、出場者に本大会を踏み台にして、国際社会に羽ばたいてほしいとの思いがあった。

当日は検温や手指消毒を徹底、名簿を作成して全来場者を把握し、座席配置にも配慮、スピーチの妨げとならないよう注意しながら会場内の換気も行った。今大会が第10回という節目であったことや、さまざまな検討を経て開催にこぎつけたことに呼応するように、出場した高校生のスピーチは多種多様ですばらしいものばかりだった。

「Live with Pride(自分らしく)」のテーマで、ジェンダー・ギャップについて抱いている疑問を投げかけるスピーチ。「I Love the Sea(僕は海が好き)」のテーマで、海への思いと海洋汚染問題を取り上げたもの。「Make a Difference(変化を起こそう)」のテーマで、ある発信が瞬く間に国境を越えるSNSの可能性に言及するもの。「A bridge that keeps people together(人と人をつなぐ橋)」のテーマで、自らの経験を通じ、自分に出来ることの一つひとつの積み重ねが世界を救うことにつながると語り掛けたもの。いずれも出場者各人が十分な準備を経て挑んだことがうかがえる流ちょうなスピーチばかりで、会場の大きさにも臆さず堂々たるものだった。全発表終了後、審査員の先生方が頭を悩ませながら、「The pain stay inside forever(永遠に残る心の傷)」のテーマで、予期せぬ祖父の死に接した後悔から、他者とのコミュニケーションの大切さを訴えた加島那苗さん(大分豊府高等学校)を最優秀賞に決定した。

大会翌日、参加してくれた各高校を訪問しお礼を述べた。生徒を後押しし最後まで支えてくれた英語担当の先生方からは、スピーチの練習を100回以上繰り返した生徒や、今大会が2回目のチャレンジで、絶対に最優秀賞を勝ち取りたいという強い思いで参加した生徒の話などを聴くことが出来た。先生や保護者など多くの関係者の協力があったこともよく分かった。また各校の先生方からは、「このようなすばらしい大会を主催してくれた大分ライオンズクラブさんに心から感謝します」との言葉を頂いた。手前みそになるが、苦労はあったが今大会の開催には確かに意義があったのだと実感した。

コロナ禍の中、YCEプログラムによる海外派遣が実現出来る時期は未定だが、最優秀賞に選ばれた加島さんは、その再開を心から楽しみにしてくれている。大分ライオンズクラブとしては会員の協力の下、今後も英語弁論大会を継続していこうと改めて思った次第である。

2021.03更新(幹事/市原信志)