国際財団 コロナ禍に求められる
ライオンズクエスト

コロナ禍に求められるライオンズクエスト

新型コロナウイルスは今、子どもたちの生活や教育に大きな影響を及ぼしている。オンライン授業への移行や新しい生活様式の実践に加え、ウイルスについて日々刻々と変化する数多くの情報がもたらされ、今までに経験したことのないレベルのストレスを子どもたちに与えている。そんな不安の高まる世の中で、ライオンズクラブ国際財団(LCIF)が提供するライオンズクエスト(LQ)プログラムは、社会性と情動の学習を通じて子どもたちにこの困難な局面に適応する能力を授けている。

LQは社会生活を健全に責任感を持って送るためのライフスキルを育成することで、青少年の将来を豊かなものにしようという取り組みだ。正しい意志決定や効果的なコミュニケーション、アルコールや薬物の誘惑に打ち勝つ方法を学び、感情のコントロールや他者への敬意など前向きな姿勢を身に着けることを目的としている。奉仕活動の実践を通して、地域社会への貢献の重要性も強調している。

アメリカ・イリノイ州キャルメット・シティーの教師たちは、新型コロナウイルスのストレス対策にLQが最適と考え、コロナ禍の中でもプログラムを継続的に実施している。キャルメット・シティー ライオンズクラブのメンバーで、学区内の特別支援教育長を務めるタマラ・ヤングは言う。
「このパンデミックが児童のトラウマになっているのは事実です。そんな中で彼らが最初から通常の学習に集中するのは不可能だと思いました。子どもたちが社会的・情緒的に健康であることを確かめた上で、授業を始めるのが大切なのです」

そこで新学期の最初の1週間は、LQのみが集中的に実施された。授業はオンラインで、LQの動画を使用した。ヤング教育長は、昨年から導入されたこのプログラムが既に学校全体の雰囲気を向上させていることに気付いていた。更にLQは、難しい話題について教師が児童と対話を進めるのに必要なツールも提供している。

LQは、オンラインで新学期を迎えることになった児童のための学校行事でも、良い効果をもたらした。キャルメット・シティー ライオンズクラブのメンバーでもあるレジナ・ヒューストン校長は、児童を学校に順応させるための新学期オリエンテーションを屋外で実施。駐車場を利用しソーシャル・ディスタンスが十分に保たれた環境で行い、子どもたちには持ち帰り用のホットドッグを配布した。これは子どもやその親にとって、新しい先生や友達に直接会うことの出来る絶好の機会となった。

今秋、LQの新しい学習帳が発行された際には、楽しいイベントも開催された。ハロウィーンの衣装を身にまとった子どもたちは、ハロウィーンのお菓子と一緒にLQの新しい教材一式を受け取った。
「LQを通じて社会性と情動の学習プログラムを取り入れたことは、学区内の学校にとって最善の選択でした。現代社会では学校は単に勉強をするだけの場所ではなく、子どもたちが社会的に成長する重要な場所なのです。LQは今の私たちのニーズを大いにサポートしてくれています」(ヤング教育長)

2020.12更新(文/ジェイミー・ウェーバー)