投稿リポート
市民に笑顔を
ドライブインシアター実施
山口県・長門ライオンズクラブ
#青少年支援
長門ライオンズクラブ(45人)では今年度、「未来の子供たちにWe Serve」をスローガンに掲げている。しかし、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言や各地の祭り等の中止により、子どもたちから笑顔が消えてしまいつつある。
「このままではいけない、何とかしなければ!!」
「今だからこそ出来ることはないのか……?」
このような状況をどうにか打破出来ないかと我々は考えた。時間を掛け、会議を重ねた結果、ようやく一筋の光が見えてきた。それはドライブインシアターを実施するというアイデアだった。それぞれが車の中からスクリーンを観るドライブインシアターの形であれば、密を避けたイベントが実施出来る。早速、クラブで方法を模索し始めた。
そんな中、残念な知らせが届く。長門市民が楽しみにしている仙崎花火大会の中止が発表されたのだ。これには、子どもたちだけでなく、市民の笑顔も失われた。そんな市民の落胆を感じた我々長門ライオンズクラブでは、何とか長門に笑顔を取り戻そうと策を練った。そうだ、我々が花火を打ち上げれば良い。皆を笑顔にしよう。熱い思いがライオンズ・メンバーの心を奮い立たせた。
こうして準備を進めてきたが、問題はまだまだ山積みだった。長門市の方針では8月末までのイベントの中止が要請されていたのだ。関係各所と調整を繰り返し、さまざまな状況を注視しながら、開催日を模索。そしてようやく9月20日と21日に山口県長門市のルネッサながとで、ドライブインシアター、題して「NAGATOライオンズシネマ」を開催することになった。
両日とも入場料は無料とし、1日目の20日は子ども向けの映画を、2日目は大人向けの映画を上映した。子ども向けの映画については教育委員会と市役所子育て支援課に協力を依頼し、チラシと応募はがきを市内全域の子どもたちに配布した。車の入場数100台として募集をかけたところ、応募は200台を超えた。会場の広さを考えれば、物理的に全てを受け入れるのは不可能だ。しかし、少しでも多くの方にご来場頂き、笑顔になってもらいたい。クラブではぎりぎりまで車の並び方を考え、何とか130台まで増やすことが出来た。こうして2日間で約900人の来場を想定して、開催した。
新型コロナウイルス感染症への対策として、スタッフはマスクとフェイスガードを着用し対応。入り口では来場者の検温を実施し感染防止を徹底した。感染症の影響により売り上げが減少して、苦しんでいる長門料飲組合にも共催して頂き、お弁当、サンドイッチ、唐揚げ、ポテト、ポップコーン、ドリンクなどを販売。これらは事前注文を頂く形にし、密を避けたドライブスルー形式にした。
20日18時30分、いよいよオープニングセレモニーが始まった。長門市のみすゞ音頭を育てる会・青波(せいは)に太鼓演奏を披露して頂き、会長である私に続いて江原達也市長にもあいさつを頂いた。そして、花火が打ち上がる。小型煙火と、打ち上げ花火を少し離れた2カ所で打ち上げた。これには会場におられる子どもを始めとした全員に大変喜んで頂いた。3密を避けるため、打ち上げ場所の公表はしなかったが、地域住民には当日、長門市の防災無線(18:45分から放送開始)で「18:50分より市内のどこかで花火があがります。皆様、空を見上げて花火を探してみてください」とお知らせをし、自宅から花火を探して頂いた。映画の上映が始まると皆、車の中で物語に一喜一憂。久しぶりに大きなスクリーンで映画を見る喜びを感じてもらえたようだ。
準備が大変だった分、当日の感動はひとしおだった。来場された方々の大きな歓声と、笑顔と感謝の言葉、そして自宅から花火を楽しんでくれた多くの市民の方々の激励の言葉に、我々も満面の笑みになった。
将来、大人になった子どもたちが、少し遅い夏の思い出として、振り返ってくれるのではないかと思っている。記憶の片隅に残り、沈滞した空気が漂っていた市民の皆様に笑顔を届ける事業が、ライオンズ・メンバー皆の力で出来たことをうれしく思っている。
2020.10更新(会長/白石裕介)