投稿リポート 障がいのある子と遊ぶ
"おひさまひろば"実施

障がいのある子と遊ぶ”おひさまひろば”実施

山形市社会福祉協議会が主催する「おひさまひろば」は、障がいのある子どもたちが学生を中心としたボランティアと1日思い切り遊ぶことでそれぞれの能力を伸ばすきっかけを作り、互いに理解を深めて仲間の輪を広めることを目的としたイベントだ。例年は250人が参加。山形千歳ライオンズクラブ(25人)は全参加者分の「名物芋煮」を作って振る舞い、馬を手配してアニマルセラピーを実施、また学生から要望があった用具を提供するなど、子どもたちと安全に遊んでもらうための後方支援をしている。

障がいのある子を中心としたイベントのため、事故のないよういつも慎重に準備をするのだが、本年は新型コロナウイルス感染症の影響で準備段階からさまざまな大きな問題が発生してしまった。まずメインで活動していた医療関係の学生が、学校からの指示で参加不可になってしまった。これで学生ボランティアの数が圧倒的に不足することになった。更に体育館が改装のために使用出来なくなった。そもそもこのコロナ下で大規模イベントの開催が許されるのかという問題があり、状況は絶望的だった。

しかし出来ない理由を探すのではなく、出来る可能性をみんなで探そうと、前年参加者と学校に聞き取り調査を行った。すると前年参加者からは「さまざまな行事が中止になっているため、これはぜひ開催してほしい」という意見が多く挙がった。学校側は、協力出来るところと出来ないところの二つに割れた。これらの結果から、感染症対策を万全にすることで何とか開催出来る可能性が見えてきた。そこで「withコロナ時代のおひさまひろば」の検討が始まった。

体育館が使用出来ないので、過去に当クラブが奉仕事業を行ったことのある野外公園での実施を提案した。屋外なので「三密」を回避出来る。学生ボランティアが足りないので、障がいのある子に学生が複数人で付き添うことをやめ、保護者の皆さんに協力頂くようにした。これで不特定者の濃厚接触を減らすことが出来る。終日のイベントを午前中2時間のみにし昼食タイムを無くすことで、マスクを外す必要がなくなった。また招待者も広く募集するのではなく、昨年の参加者のみに限定。ライオンズクラブを含む一般ボランティアの参加人数も制限して、イベント規模を例年の4分の1の約60人に縮小した。参加者には状況を説明して理解を得て感染症対策に協力頂き、可能な限り感染リスクを減らすことで何とか開催出来る道筋が見えてきた。

しかしここで、更なるピンチに見舞われる。例年当クラブが段取りをしていた一番人気の「お馬さんと遊ぼう=アニマルセラピー」は、馬が死んだことにより出来なくなってしまったのだ。これは急きょ屋外ならではのシャボン玉遊びを充実させることで対応することにした。しかし、開催日の10月10日(土)の山形市の天気予報は、台風14号と秋雨前線の影響で雨だという。中止の可能性が大きくなっていった。

いくつもの難関を乗り越えて迎えた当日は、今にも雨が降り出しそうな厚い雲に覆われてはいたが、何とか無事に「おひさまひろば」を開催することが出来た。朝9時半からの受付と同時に全力で走って来てくれた子もいて、こちらもうれしくなった。

このイベントでは学生が実行委員会を組織・運営し、大人たちは全面的にバックアップをする。イベントを通じて彼らも成長する。それが、30年間続いている秘訣かもしれない。開会式では、佐藤笑香実行委員長(山形大学2年生)が自作の可愛い「てるてるぼうず」を披露、雨を押しとどめた大活躍に全員から拍手喝采が贈られた。オープニングダンスではボランティアを含め全員で体を動かし、屋外で体を動かす心地良さを久々に感じることが出来た。学生による手作りの遊びが中心の各コーナーには、子どもたちの笑顔があふれていた。シャボン玉は液に洗濯糊を混ぜる工夫をして、びっくりするほど大きなものが出来た。万が一の誤飲を防ぐために口で吹くのではなく、ピストル型のしゃぼん玉マシンを複数台提供したところ、こちらも大好評だった。

特にうれしかったのは、閉会式で「何が楽しかったですか?」と質問した時に、子どもたちが次から次へと手を上げて積極的に回答してくれたことだ。たくさんの最高の笑顔を頂いた。

当クラブでも新型コロナの影響でほとんどの行事、奉仕事業が中止になる中、今回は関係各所のご理解、協力の下、開催することが出来た。伝統ある「第30回おひさまひろば」は例年とは内容が全く変わってしまったが、このwithコロナ時代では今までと同じようには出来ないのが当たり前。こうした状況下で何とか次年度に引き継げたことを大変うれしく思っている。
 
2020.10更新(会長/大桑昌弘)