投稿リポート 安らぐ公園を作るため
東日本大震災復興祈念植樹

安らぐ公園を作るため東日本大震災復興祈念植樹

かれこれ半年以上にもわたって世界中の人々の生活を脅かし続けている新型コロナウイルス感染症拡大。私たちの心や生活にさまざまな影響を与えており、日々不安に思っている方も多いことだろう。同時に、私たちの生活と心に大きなインパクトを与えたものとして、9年前の東日本大震災のことも思い出さざるを得ない。

2011年3月11日。すさまじい大地の揺れと、その後に襲ってきた巨大な津波が堤防を乗り越え、全てのものを飲み込み流し去っていったあの光景は、今になっても一切忘れることが出来ない。比べるわけではないが、震災関連死を含めれば、国内においては新型コロナウイルスの約20倍(2020年7月現在)に当たる、約2万人の死者を出した大災害だ。

八戸ライオンズクラブ(大山重則会長/68人)は6月13日、八戸市市川町の公園である北地区海浜緑地において通算5回目となる植樹奉仕作業を行った。これは、甚大な被害をもたらした東日本大震災を後世に伝え、被災した公園を美しく彩り、利用者の心を癒やすことを目的に行われている、東日本大震災復興祈念植樹の一環である。今回はクラブ・メンバー27人とその家族が現地に集合し、ハマナス86本を公園のエントランスに植樹した。

東日本大震災復興祈念植樹は震災が起きた年の10月に、当時の中居雅博地区ガバナー(八戸ライオンズクラブ)が発案し、332-A地区5リジョンが合同で実施したもの。近隣の幼稚園児や小学生も参加し、クロマツ1000本を植樹した。何年か過ぎ、植樹したクロマツの生育状況を確認するために現地を訪れた大山会長が、隣接する公園の植栽が枯れ、メチャクチャになったまま放置されているのに気付いた。「あれでは公園に来ても寂しい思いをするだけだ。八戸ライオンズクラブ単独でも植樹を続けよう」と提案。15年にクラブの55周年と国際協会100周年記念事業として実施して以後、毎年クラブ事業として続けている。

2011年10月に実施した東日本大震災復興祈念植樹

当初は元々植えられていたツツジを植樹していたが、海水を吸い込んだ土から上がる塩分が思いの外強く、9割もが枯死してしまった。それからは塩害に強く、またピンク色の可憐(かれん)な花を咲かせるハマナスに変更して植樹している。これまで5回の植樹で植えられた計326本のツツジとハマナスは、5月から6月にかけて公園のエントランスを緑とピンクで彩る。利用者からは、公園に来ると気持ちが安らぐと好評だ。

来年の3月には発生から10年となる東日本大震災。被災地においても徐々に薄れつつあるあの記憶を、後世を担う子どもたちに少しでも伝えることが出来ればと思っている。そして、もしもの時には1人でも多くの住民が助かるように、「一本の明かり」ならぬ1本の木を植え続けていきたい。

2020.08更新(理事/佐藤正洋)