国際財団
全ての人に視力ケアを
世界を変えるライオンズ
アメリカ・ユタ州
アメリカ・ユタ州のある地域では、医療体制の不足と経済的な理由から視力ケアサービスを受けることが難しい人が多い。地域住民の健康を切に願うライオンズは、多くの子どもたちが視力ケアを必要としていることを知り、その提供に乗り出した。
ユタ州のライオンズクラブは共通の志を持つ非営利団体アイケア・フォー・キッズと提携した。この団体は、眼鏡技師でもあるライオンズ・メンバー、ジョセフ・カーボンによって創設され、サービスの行き届かない地域を重点的に訪問する移動眼科クリニックを実施している。訪問先では、ライオンズや研修を受けたボランティアが、低視力の子どもたちを対象に検査を行う。その結果、更に治療が必要な場合は、地元の眼科医を紹介する。この活動により、腫瘍や失明の可能性がある病気が発見されることもあった。検査代や治療費を払えない家族には、無償でサービスが提供された。それは、これまで生活が苦しいために子どもに視力ケアを受けさせられなかった両親に、大きな安心を与えるものだった。
しかしある時、大問題が発生。移動眼科クリニックで使用していた車が故障してしまったのだ。車が直るまで、彼らを唯一の頼りにしていた大勢の子どもたちにサービスを提供出来なくなってしまう。そこでライオンズはライオンズクラブ国際財団(LCIF)に交付金を申請。LCIFは車の修理・改造費、検査器具の購入費として9万9600ドルを拠出した。
こうして移動眼科クリニックは再開し、現在ではほとんど毎日、子どもたちに視力ケアサービスを提供している。ある晩行われた特別イベント「難民家族ナイト」では、子どもだけでなく家族全員に視力検査が提供された。ユタ州には、より良い生活を求めてアメリカにやってきた6万人の難民が生活している。視力障害は、厳しい状況の中で新しい環境にも適応していかなければならない彼らに、更なる困難をもたらすことになるのだ。
「ここの人々は、大人も子どもも視力ケアサービスを必要としています。物が見え字が読めなければ、人は自立することが出来ないからです」
とカーボンは話す。
イベント会場にあふれた多くの人々の安心と喜びに満ちた表情が、活動の意義の大きさを証明していた。ライオンズとLCIFの奉仕の精神によって、彼らは夢に一歩近づくことが出来た。
2020.06更新(文/ジェイミー・ウェーバー)