投稿リポート 地域に寄り添う奉仕活動
小中学生の俳句川柳大会

地域に寄り添う奉仕活動 小中学生の俳句川柳大会

「ばあちゃんと だいこんぬいた どっこいしょ」
これは、私たち唐津キャッスル ライオンズクラブ(36人)が地域の小中学生を対象に開催している俳句川柳大会の、小学1年生の川柳特選句だ。選者は、この下の句の「どっこいしょ」を高く評価した。他の入選作を見ても表現が豊かだ。「子どもたちの豊かな感性を育む」という私たちの取り組みの狙いが、少しずつ達成出来ていると自負している。

私たちは結成15年目の活動歴の浅いクラブだが、会員の平均年齢が70歳を超えたシニアクラブでもある。若い人材の居る他のクラブに比べ、フットワークに難のある当クラブがアクティビティとして何に取り組むか。その視点が、地域に根ざした奉仕活動だった。

そして2007年に始めたのが、「からつ児童生徒俳句・川柳大会」だ。第1回は、地域の小中学校の全67校中30校から3600句の応募があった。そして13年目を迎えた今年は、全55校中50校(91%)から1万1405句もの多くの応募を頂いた。この活動は回を重ねるごとに地域や学校の理解が深まり、教育委員会の後援のおかげもあって、地元小中学生の6割以上が参加してくれる取り組みになった。

少子高齢化が止まらない現在、未来の社会を担う子どもたちはまさに地域の宝物である。ところが昨今、人との関係づくりが苦手で引きこもり等の問題を抱えている青少年や、虐待などの悲惨な事件も増加している。そうした現状を思う時、子どもたちの豊かな人間性を育てることは、普遍的かつ今日的な課題だと考える。

今、情報化社会の発達は目覚ましく、子どもの世界でもパソコンやスマートフォンがコミュニケーションの手段として大いに利用されている。しかし、いかに伝達手段が発達しても、文字や言葉での表現力はコミュニケーションの基本的要素だ。俳句や川柳を創ることは、自分自身を見つめ直し、豊かな表現力を身に付ける良い機会になると思われる。また創るだけでなく人の作品を鑑賞することにより、更に幅広い人の思いを知り、より豊かな感性を培うことにつながるのではないだろうか。このような機会を重ねることによって、地域の子どもたちの心の大きな成長を期待している。

私たちはライオンズの一員として、環境保全美化の公園清掃活動、献血事業の補助、薬物乱用防止広報活動等も細やかに取り組んできた。高齢者ばかりの我がクラブのモットーは、背伸びをしないで地域に寄り添った活動を行うということだ。その思いを実現させたアクティビティが、子どもたちの俳句川柳大会である。手間の掛かる表彰式の開催や、経費節減のために自前で行っている句集の製本作業等、さまざまな課題もある。せっかく地域や学校に定着してきたこの活動をいかにして継続していくか。地道に一つひとつ問題を解決していかなければならない。

2020.04更新(会長/小林一幸)