取材リポート 会津通園訓練センター
たんぽぽ園の遠足支援

会津通園訓練センターたんぽぽ園の遠足支援

福島県会津若松市にある会津通園訓練センターたんぽぽ園。ここは障害を持った子どもたちのための通所施設だ。放課後デイサービスと児童発達支援の通所サービスを提供している。福島県立会津支援学校の近くに位置しており、放課後のデイサービスを多くの子どもたちが利用している。

たんぽぽ園の児童発達支援の通所サービスは、親子を対象としている。親子で通う一番のメリットは親同士のつながりが出来ることだ。障害のある子どもがいる家庭では、その家ならではの悩みや問題が発生する。それを似たような境遇の他の親と共有することで、解決の糸口が見つかることもある。

たんぽぽ園では毎年秋に、児童発達支援サービスを利用している親子を対象に遠足を実施している。これを長年支援しているのが会津若松ライオンズクラブ(水野さちこ会長/22人)だ。資金援助をし、メンバーも一緒に参加する。

今年の行き先は猪苗代湖。遊覧船に乗って湖を周遊し、河京ラーメン館で昼ご飯を食べる。雨天などの場合は場所を変更することもあるが、ここ数年、同じ行程で実施している。たんぽぽ園に通っている児童の中には外に出るのが難しい子もいる。外出する機会が少ないため、みんなが楽しみにしているイベントだが、症状や体調によって直前で不参加になってしまう子もいるという。

この日、参加したのは3組の親子だ。普段からたんぽぽ園で交流しているため、気心の知れた間柄。だが、年に一度の遠足はやっぱり特別だ。最初は少し緊張していた子どもたちだったが、白鳥の形をした遊覧船が出発すると大はしゃぎ。会津若松ライオンズクラブからは船内でお菓子がプレゼントされ、約35分の周遊を楽しむ。

遠足中はメンバーもどんどん子どもたちに話し掛ける。たんぽぽ園の職員や保護者以外の大人と話す機会はあまりないため、子どもたちにとって良い経験となる。メンバーにとってもライオンズクラブの原点である奉仕の精神を改めて思い直す良いきっかけとなっていると言う。あるメンバーは「先輩たちが続けてきた事業だから継続したいと思っていたが、実際に参加すると、自分の気持ちが新たになった」と語っていた。

たんぽぽ園が出来たのは1981年のこと。クラブによる支援がいつ始まったのかは定かでないが、30年以上は支援を続けているというので、ほぼ最初からだろう。

この遠足支援の縁で、会津若松ライオンズクラブはたんぽぽ園のクリスマス会にも参加している。サンタクロースの格好をして一緒にクリスマスを祝うのだ。また、去年から始まったボウリング大会にも参加するなど、たんぽぽ園の利用者とも、職員とも良好な関係を築いている。

一方で、クラブで意識するようにしているのは、「自分たちは通りすがり」だということ。日常、大変な時に子どもたちを見ているのは親や職員の方々。自分たちは1日だけのボランティアで、遠足やクリスマス会など楽しいイベントの楽しいひと時のみを一緒に過ごしているのだ。見方によっては無責任な一面があることを忘れてはならない。だからこそ自分たちが一緒にいる楽しい時間をより楽しいものにして、良い思い出を作ってもらおうという気持ちで参加している。事実、クラブの活動について話す時は真剣な顔をしてさまざまな思いを語っていたメンバーも、子どもたちを前にすると満面の笑顔で交流し、子どもたちを楽しませようとしていた。

猪苗代湖の周遊が終わると、次はラーメン館での昼食だ。ここでは喜多方ラーメンとサイドメニューが食べ放題。7種類ある喜多方ラーメンは全てハーフサイズなので、さまざまな味が楽しめる。また、注文をしてから持ってきてくれるオーダーバイキング方式なので、出来たてのおいしい状態で食べられるのが特徴だ。また、サイドメニューも30種類以上と豊富。会津地方の郷土料理こづゆやワサビ餃子、天ぷらまんじゅうなどバラエティに富んでいる。子どもたちは好きなラーメンを食べ、自分でわたあめを作るなどラーメン館を満喫していた。

幸い、天候にも恵まれた今年の遠足。子どもたちの楽しそうな姿を見て、メンバーたちはまた新たな気持ちで奉仕活動に励んでいくことを誓っていた。来るクリスマス会でも、会津若松ライオンズクラブの面々はたんぽぽ園の子どもたちを楽しませることだろう。

2019.12更新(取材・動画/井原一樹 写真/関根則夫)