国際財団
ライオンズクエストを学ぶ
生徒とレオの環境保全活動
インド
ガネーシャは象の頭を持つヒンドゥー教の神で、あらゆる障害を取り除く力を持つとされている。芸術科学の守護聖人、知性・学問の神としても信仰され、ヒンドゥー教の行事は全てガネーシャに祈りを捧げることから始まる。
毎年8月から9月に掛けて行われるガネーシャの生誕祭、ガネーシャ・チャトゥルティでは、10日間にわたってガネーシャ像を飾り、その後、川や海に流す習慣がある。多くのガネーシャ像には有害な化学物質が使用されており、何百万体もの像が海や湖、池や井戸に沈められることで水が汚染され、水中の生態系に多くの悪影響を及ぼしている。
インド南部の都市バンガロールで、ライオンズクエスト・プログラムを学ぶ中学生とレオ・メンバーは、ガネーシャに敬意を払いながら、環境に負担の掛からない方法はないものかと考えた。そして奉仕活動の一環として、環境に優しい土製のガネーシャ像作りに取り組み始めた。
ライオンズクエストはライオンズクラブ国際財団(LCIF)が提供するライフスキル教育プログラムで、未就学児から高校生を対象に健全な意思決定と行動を学ぶことを目的としている。いじめやドラッグ、アルコール、たばこに関する問題意識や自己の形成、コミュニケーション能力を、学校や奉仕活動の場を通して身に着けていく。
バンガロールのレオクラブに所属する高校生たちは、こうしたライオンズクエスト・プログラムについて知ってもらい、同級生や他の学校の生徒が、彼らと一緒に奉仕活動に取り組むよう促すことを一つの目標にしている。その中でも地元の水質汚染については以前から大きな問題と捉え、改善したいと考えていた。
祭りの1カ月前、レオは生徒たちと一緒に土製のガネーシャ作りを始める。粘土の彫り方を丁寧に説明し、時には他の学校や寺院にも出向いて作り方を教える。継続的に活動することで、地球に優しいガネーシャ像が、地域を超えて広く伝わっていくことをレオたちは願っている。
こうして作成されたガネーシャ像は生徒一人ひとりが各家庭に持ち帰り、10日間飾った後はバケツいっぱいの水に沈める。汚染物質を含まないバケツの水は、植物の水やりなどに使用される。
この活動を通じて、生徒たちは環境保全を身近に捉え、自身が地域社会に貢献していることを誇りに感じることが出来る。彼らの取り組みは、確実に次世代のための健康な社会を作り出している。
2019.06更新(文/ジェイミー・ケーニヒスフェルト)