トピックス 熊本地震災害に対する
LCIF交付金事業が完了

熊本地震災害に対するLCIF交付金事業が完了

2016年4月16日午前1時25分頃、熊本県熊本地方を震源とする強い地震があり、益城町と西原村で震度7の激しい揺れを観測した。2日前にあった震度7の揺れは、この日の地震の「前震」とされた。

それから3年が経った19年4月10日、ライオンズクラブなどの支援により再建された益城町給食センターが本格稼働、町内全小中学校への給食提供が再開された。益城町には小学校5校、中学校2校があり、震災前は約3350食分の給食を町の給食センターで調理していた。が、旧センターは地震で建物全体が傾き、ボイラーが破損するなど壊滅的な打撃を受けた。そのため約1カ月間は給食を中止せざるを得ず、その後も簡易給食や弁当給食で急場をしのぎ、17年からは隣の熊本市に調理を委託していた。

その一方、地震直後から、自衛隊を始め被災地支援団体から町に対し、炊き出し用に給食センターを使わせてほしいとの要請が多く寄せられていた。が、完全に機能不全に陥っていたため、3000人以上の食事を用意出来る設備がありながらも炊き出し等に活用されることはなかった。

そこで町ではこの教訓を踏まえ、給食センターを元通りに復旧させるだけではなく、災害時にも活用出来る施設として再建することを目指した。再建されたセンターは約2700平方メートルの鉄骨平屋建て。オール電化で1日最大3500食の調理が出来、炊き出しのための非常用調理室や備蓄倉庫、自家発電装置などを備えている。総事業費は約20億5000万円。このうちライオンズクラブでは、ライオンズクラブ国際財団(LCIF)の熊本地震指定交付金などを活用し、給食センターの配送トラックや調理場の備品、町立小中学校の全児童・生徒が使用する食器などの調達費用として3億6987万5000円(336万2500ドル)を支援した。

今回の支援事業は、熊本ライオンズクラブが計画。同クラブは地震が発生した16年にクラブ結成60周年を迎え、その記念事業を最も被害が大きかった益城町の支援に絞り、西村博則町長と折衝を始めた。その中で、被災した給食センターの再建資金集めに苦戦していることを知り、関連事業への支援を策定した。が、事業規模が大きく、単一クラブでの実施は困難と判断し、当時の井上弘太郎会長が337-E地区(熊本県)キャビネットに相談。同地区アラート委員会で検討の上、地区としての支援が決定し、LCIFヘ交付金を申請した。

給食センターが稼働を始めた4月11日には、熊本ライオンズクラブの井上元会長、支援決定当時の地区代表を務めていた日本ライオンズの村中尊裕亀理事(熊本第一ライオンズクラブ)、椿幸雄ライオン誌日本語版委員(熊本火の国ライオンズクラブ)の3人が給食センターを視察。調理の様子や配送車の運行、また飯野小学校での給食風景などを見て回った。

視察に同行した給食センターの安田弘人所長は、センターの概要などを説明しながら、次のように話していた。
「熊本地震では役場庁舎を始め給食センター、総合体育館など、公共施設が壊滅的な状況となりました。その復旧復興の事業費は莫大な金額になり、町として財政的にかなり厳しい状況でした。そんな時に、ライオンズクラブの皆様が給食センターの支援に乗り出してくださいました。4月で震災から3年になりますが、皆様のおかげで3月2日には落成式を行い、この4月10日から本格稼働を開始しました。小中学校の児童・生徒はもとより学校関係者全員がとても喜んでいます。また、町長を始め議会や教育委員会でも、ライオンズの支援に対する感謝の言葉がいつも出ています。改めてお礼申し上げます」

熊本地震に対してはこの他、各地のライオンズが地震直後からさまざまな支援活動を展開。本震翌日の4月17日には333-E地区(茨城県)の担当委員長が、特に被害が大きかった益城町、西原村、南阿蘇村を回り、状況の確認とニーズの把握、支援の調整を行った。その調整により、4月25日には西原村で沖縄県・八重山ライオンズクラブと福岡大名ライオンズクラブが合同で炊き出し奉仕を実施。また鹿児島県・加世田ライオンズクラブも支援物資を持って南阿蘇村に駆け付け、同村在住の高森ライオンズクラブ会員らの案内で避難所へ搬入した。

その後も、地元の337-E地区を中心に、支援物資の搬入や炊き出しなどの活動が実施され、ライオンズクラブのネットワークを通じてそれらが拡幅。5月中旬には1週間以上にわたって、益城町と西原村の12カ所でライオンズクラブによる炊き出し奉仕が行われるなどした。

また、ライオンズクラブ国際会長とLCIF理事長が、大災害援助交付金25万ドル(2550万円)の交付を決定すると共に、熊本地震のための指定寄付金口座を開設。これらの交付金によって、今回の益城町給食センターへの支援と、以下の各事業が実施され、LCIF交付金による熊本地震関連事業は総額3億9537万5000円に上ることとなった。

1)甲佐町仮設団地スピーカー取り付け(204万8760円/交付金申請者:熊本県・甲佐ライオンズクラブ)
2)西原村保育園及び小・中・高校器材購入(566万928円/交付金申請者:熊本県・肥後東ライオンズクラブ)
3)上益城建設高等職業訓練校支援(458万円/交付金申請者:熊本平成ライオンズクラブ)
4)南阿蘇村小・中学校教材・器材支援(834万9976円/交付金申請者:337-E地区)
5)益城町小・中学校教材・器材支援(486万336円/交付金申請者:337-E地区)

2019.04更新(取材/鈴木秀晃)