取材リポート
幼稚園児から留学生まで
新春こども書き初め大会
北海道・北見ライオンズクラブ
#青少年支援
北見市は北海道東部にあるオホーツク圏最大の都市。2006年3月に北見市、留辺蘂(るべしべ)町、端野(たんの)町、常呂町が合併した新生・北見市は北海道で一番広く、日本全体でも高山市、浜松市、日光市に次ぐ4番目の広さを持つ地方公共団体だ。旧常呂町(現・常呂自治区)はカーリングが盛んで、日本代表選手を多く輩出。18年の平昌オリンピックで日本のカーリング史上初のメダルを獲得したカーリングチーム「ロコ・ソラーレ」もここを拠点としている。
そんな北見市では、北見、北見白樺、北見中央、るべしべ、端野、常呂の六つのライオンズクラブが活動している。その中で最も古い北見ライオンズクラブ(白川利幸会長/38人)は1962年の結成。その56年の歴史の中では、子どもたちの剣道大会やスケート大会を開催するなど、青少年健全育成事業に力を入れてきた。
2009年からは書き初め大会を主催。これも青少年を対象とした事業で、メンバーの池田正尋さんが、北見書道連盟の会長だったことがきっかけで始まった。日本古来の伝統文化を、日本の未来を担う子どもたちに継承していきたい。そんなクラブの思いとも合致した。以来、北見書道連盟と協力し、継続している。
今年も1月12日、若獅子新春こども書き初め大会が開催された。場所は北見市立市民体育センター。今回で11回目となるこの事業は、毎年、100人を超える子どもたちが参加する一大イベントである。開会式では子どもたちと一緒にライオンズ・ローアをするのが恒例となっているが、今年は「ウォー」の代わりに18年新語・流行語大賞に選ばれたカーリング女子日本代表の「そだねー」を合言葉に実施した。
参加しているのは北見市内の幼稚園児から高校生まで。毎年、教育委員会を通して参加を募集している。これに加えてほぼ毎回、北見工業大学に通う留学生が見学や体験に来てくれる。今年も2人の留学生が参加した。留学生は初めて触れる日本の書道に戸惑いながらも、真剣に筆を滑らせていた。
この書き初め大会では、お手本をもとに2枚の作品を書き、うち1枚を提出する。提出された作品は即日、書道連盟の先生による審査を受け、受賞作品は1月17日〜19日にかけてNHK北見放送局の中にあるNHKぎゃらりーに展示される。
ライオンズ・メンバーは墨汁がこぼれても良いようにシートを張ったり机を並べたりと会場設営を行う。大会が始まってからも提出された作品の移動、乾燥作業のための整理などを行う縁の下の力持ち。NHKぎゃらりーの展示から表彰式の実施もあるため、剣道大会やスケート大会よりも拘束日数が多い事業となっている。予算内でどれだけ多数の賞を出せるか真剣に考える。それも全て、子どもたちに自由に楽しんで参加してもらいたいという思いがあるからだ。
今年も北見市内から100人以上の子どもたちが参加。それぞれの日頃の成果を出そうと真剣に紙と向き合っていた。2枚のどちらを選べばいいか、先生や親に相談する子。「白銀世界」を間違えて「白飯世界」と書いてしまって大笑いする子。子どもの書いている姿を動画で撮影するお母さん。それぞれが楽しそうにこの大会に参加している。
初回の開催から10年が経った若獅子新春こども書き初め大会。現在は北見市内の子どもたちが対象の事業だが、オホーツク近隣の子どもたちに参加を呼び掛けるのも面白いという意見も出てきた。また、見学に来てくれる留学生たちをもっと巻き込んで、実施することも検討中だ。子どもたちへの文化継承という当初の目標を継続しつつ、新たに「日本文化の体験」というインバウンドへ向けた魅力発信でより広く地域を巻き込んだ事業として充実させるため、クラブの挑戦は続いていく。
2019.02更新(取材・動画/井原一樹 写真/関根則夫)