国際財団
世界的に増加する
糖尿病の予防に取り組む
アメリカ・イリノイ州
シカゴ郊外に住むレン・ドンケの自宅から地元の病院まで車で12分。それだけの運転が、体調の悪い彼にとっては人生で最も困難なものの一つに感じられた。ドンケは2型糖尿病へ向かってまっしぐらだった。不健康な生活習慣を変えなければ、世界に4億人という糖尿病患者の一人になってしまう。1-J地区(イリノイ州)のライオンズはライオンズクラブ国際財団(LCIF)から9万5000ドルの交付金を得て、シカゴで複合的な医療サービスを提供しているエドワード・エルムハースト・ヘルスケア(EEH)とパートナーシップを結び、糖尿病予防及び生活習慣改善プログラム「ジャンプスタート・ユア・ヘルス」を開発した。このプログラムのおかげで、ドンケは生まれ変わることが出来た。
2型糖尿病はインスリンの働きが悪くなる疾患で、皮膚や眼、神経などに深刻な合併症を引き起こし、放置すれば死につながる可能性もある。世界保健機関(WHO)によると、1980年に1億800万人だった糖尿病罹患者は2014年には4億2200万人になり、増加を続けている。しかし、2型糖尿病は食事や生活習慣の改善により予防が可能なものだ。ドンケを救ったジャンプスタート・ユア・ヘルス・プログラムは、低所得層の成人に糖尿病に関する教育と情報を提供する。そのために1-J地区のライオンズ・メンバーは、糖尿病予防の啓発、情報説明会の開催、プログラム参加者との交流、募金イベントの主催といったトレーニングを受けた。資金獲得活動に熱心に取り組んだメンバーの一人、パティ・ウォーデンは言う。
「私自身も検査を受けて初めて糖尿病前症であることが分かり、とても驚きました。プログラムを学んで水をたくさん飲んだり生鮮品を摂取するといった生活改善に取り組み、今は体調も良くなりました。健康に過ごすためにどうしたら良いかの選択も出来るようになりました。私たちは地域の人々にプログラムを提供するために一生懸命活動しています。私はライオンズクラブの会員であることをとても誇りに思っています!」
61歳のドンケは減量を試み、失敗したことがある。そこで主治医と話し合い、今後の人生をずっと健康に過ごすためにジャンプスタート・ユア・ヘルス・プログラムに参加することにした。
「プログラムは栄養、運動、あらゆるサポート面で理にかなったものでした。講義は面白いし、教材は分かりやすく、目標は現実的で、講師は思いやりがありました」
ドンケは36kgもの減量に成功。以前よりずっと健康になった。何よりも糖尿病を発症する危険性が遠のいた。彼はライオンズに大いに感謝している。
エドワード・エルムハースト病院で1年間に糖尿病検査を受けた211人のうち、8%は自覚の無い糖尿病患者で31%が糖尿病前症だった。この糖尿病前症のうち57%がジャンプスタート・ユア・ヘルス・プログラムに参加した。プログラムはアメリカ疾病管理予防センターが設ける全ての基準を満たす、質の高い臨床結果に基づくものだ。
LCIF糖尿病交付金プログラムは、各地域社会で糖尿病啓発・予防・管理の取り組みの強化を目指すライオンズを資金面で支援する。ライオンズは、糖尿病キャンプの強化・拡大、包括的糖尿病検査への支援、糖尿病サービスを提供する優れた医療施設へのアクセス向上、及び医療専門家の知識向上を目指すインパクトの大きな事業に対し交付金を申請出来る(複合地区上限25万ドル、地区上限15万ドル)。こうした目標の達成に向けて、ライオンズは各地区で糖尿病関連団体と提携することが奨励される。LCIFはまた、視力ファースト・プログラムを通じて糖尿病性網膜症プログラムもサポートしている。
2019.02更新(文/カサンドラ・ロトロ)