投稿リポート
ライオンズクエスト
宮古島全校導入に向けて
沖縄県・宮古ライオンズクラブ
宮古ライオンズクラブ(49人)は2009年に初めてライオンズクエスト(以下LQ)ワークショップを開催、以来9年間で宮古島の200人余りの教職員がワークショップを受講してきた。今年度からは宮古島市の予算により教育委員会主導で、市内幼稚園、小・中学校の全教職員400人を対象にしたLQワークショップ受講5年計画がスタートする。その第1回目が2018年8月13日、宮古島と橋でつながる伊良部島で開催された。2日間のワークショップが2回連続で計4日間にわたり開催され、主に伊良部島内の幼稚園、小・中学校から集まった65人の教職員が受講した。
現在、伊良部島には小・中学校が4校あるが、来年4月にはこれらが統合され、小中一貫校「結の橋学園」が誕生する。今回受講した先生方の多くは、この新設校に勤務することになる。
今回のワークショップを計画、主管する宮古島市立教育研究所の田場秀樹所長はかねてから、LQは小中一貫で連携して継続的に実践するのが最も望ましいと考えており、「結の橋学園をLQ導入のモデル校としたい」と語る。過去にワークショップを受講した先生方は個々には実践への意欲があるものの、学校全体で継続的に導入するには至らず、先生方も転勤により分散し、価値は認めながらも受講成果を子どもたちにまで届けられない状況が続いていた。
そうした中で始動した5年間の全教職員受講計画。田場所長はそのキックオフとなる今回のワークショップの主な受講対象を、来年4月開校の結の橋学園勤務となる教職員に定めた。開校までの期間、先生方には現在勤務する幼稚園、小・中学校でLQを実践してもらい、子どもたちは新入学や統合による大きな環境の変化の前に、「自己肯定感を持ち、より良い集団づくりが出来る」ライフスキルの基礎を学ぶ。これにより、子どもたちの新しい学校生活への着地がより容易になると共に、その後のライフスキル学習の継続もスムーズになると考えている。
更に受講した先生方には、実践後の子どもたちの変化をデータとして継続的に記録してもらう。この結果、LQの有効性が目に見える形で立証出来れば、後続して受講する先生や学校に対し実践・導入の意義を明確に示す材料となると共に、市に対し継続的な予算獲得を求めるための有効な資料ともなる。これらの実践結果データは、宮古島市のLQ導入の取り組み内容と共に、来年2月に福岡で開催される「第3回ライオンズクエストフォーラム全国大会」にて、新山広明337-D地区クエスト・レオ委員長(宮古ライオンズクラブ所属)が発表する予定である。
ワークショップを終えた先生方は、「早く子どもたちに会って実践したい」「教師である自分が自己肯定感を持ちながら、子どもたちに伝えたい」「これからは子どもの言うことをまず受け入れる姿勢で臨みたい」など、教師であることの喜びに改めて目覚めたような、生き生きした表情で感想を語っていた。
沖縄の離島・伊良部島で先陣を切った小中一貫ライオンズクエスト学校導入プロジェクト。今後、順次、宮古島全体に広がるこの一大プロジェクトを通して、島の子どもたちがどのように変わり、どのような成果が示されていくのか。そして、ライオンズクラブとしてどのようにサポートしていけるのか。問い続けながら、希望を込めて見守っていきたい。
※宮古ライオンズクラブのホームページにて、LQ認定講師や田場所長を招いて行った座談会の記事を公開中
座談会「今後の日本の教育とライオンズクラブの果たすべき役割」(外部リンク)
2018.09更新(会長/下地隆之)