国際財団 インドでジェンダー問題に取り組む
インド
性別による暴力や不平等は、多くの国々に残る悲しい現実だ。世界保健機関(WHO)の報告によると、世界中の女性の約35%が何らかの肉体的・性的な暴力の被害にあっているという。こうした経験は、彼女らの人生に肉体的にも精神的にも深刻な影響を及ぼす。家族や地域社会から孤立し、十分な収入を得られる仕事に就けなくなったり、後に自分自身が暴力的行為に及ぶ傾向もある。この負の連鎖を断ち切るには、青少年が早い段階からジェンダー問題を知り、さまざまな障害を乗り越える力を養うことが重要である。
ライオンズクラブ国際財団(LCIF)は10万ドルを拠出し、インド・デリーで地元NGOブレイクスルー・コミュニケーションズやインディペンデント・テレビジョン・サービス(ITVS)と協力し、性別による暴力防止のための新事業を開始した。最初の活動は国際ガールズ・デーにちなんで、2017年10月10日、11日の両日に実施。「友情の旅」と名付けられたこの事業では、ニューデリーや周辺地域の約2000人の若者が、教師とのディスカッションやフィルム上映、ライオンズクエスト(LQ)のライフスキル教育を通じて、男女同権の理念を理解し育み、学校生活や社会の中で建設的な態度を身に着けることを学んでいく。
ボブ・コーリューLCIF理事長は言う。
「LQには地域社会に良い変化をもたらす力があります。この試みは、LQの歴史の中でも輝かしい一例となるでしょう」
ブレイクスルー・コミュニケーションズのシニア・マネージャーを務めるポーリン・ゴメス氏も
「このプログラムを通して、若者たちは地域の支援体制やサポート機関の存在を知り、必要な時に自分でアクセス出来るようになります。また、性別による差別や暴力の防止策、抑制方法を学習することで、自身や友達が安心して暮らせる環境を整える力を身に着けるでしょう」
と話す。
この高い目標を実現するために、地元9校から教師が招待され、LQを活用し心理社会的学習や家父長制文化による性規範、性に対する差別や固定観念を認識するトレーニングを行う。
2017年の初め、ライオンズクラブ国際協会は国連ウィメン(ジェンダーの平等と女性のエンパワーメントのための国連機関)と覚書を交わし、国連の持続可能な開発目標(SDGs)への更なる貢献を表明した。
今回のインドでのプロジェクトは、世界中で青少年に奉仕してきたライオンズにとっても節目となるはずだ。そして全ての人々に平等な機会が与えられ、自由に選択し、安心して幸せに暮らせる未来を実現する原動力となるだろう。
2018.03更新(文/アリエル・ディクソン)