奉仕活動子どもたちに夏の思い出を
プログラミングで海のSDGs!

子どもたちに夏の思い出をプログラミングで海のSDGs!

8月9日、大阪府河内長野市の市民交流センターで「プログラミングで海のSDGs!」が開催された。これは河内長野ライオンズクラブ(土井昭会長/29人)の結成55周年記念事業で、一般社団法人イエローピンプロジェクトと共催で日本財団の「海と日本プロジェクト」の一環として実施したものだ。SDGsとは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称。2015年9月に国連サミットで採択され、2030年までに実現を目指す17の大きな目標と、それを達成するための169のターゲット(目標)で構成されている。今回は目標14「海の豊かさを守ろう」をテーマとして講演会とプログラミングのワークショップ2種を開催した。ワークショップは小学校4〜6年生を対象に実施。講演会はその保護者も対象とした。事前申し込みは必要だが、教材実費などは河内長野ライオンズクラブが負担した。

ワークショップは海洋プラスチックごみの調査船を動かすものと、自分たちで海の生き物の絵を描き、それをアニメーションのように動かすものの2種類を用意。前者では海ごみの種類や、なぜ海にごみが広がってしまうかなどの説明も行った。後者では魚やタコなどを子どもたちが描き、色を塗って動かしていた。

河内長野市は、京と高野山を結ぶ高野街道の中間地として中世から栄えてきた町である。檜尾山観心寺、天野山金剛寺が隆盛し、交通の要衝として発展。国宝8点、重要文化財77点と全国的に見ても有数の歴史的価値のある史跡や建造物を多く残す町である。令和元年度には「中世に出逢えるまち~千年にわたり護られてきた中世文化遺産の宝庫~」として、令和2年度には近隣自治体と共に申請した「女性とともに今に息づく女人高野~時を超え、時に合わせて見守り続ける癒しの聖地~」及び「『葛城修験』- 里人とともに守り伝える修験道はじまりの地」が日本遺産に認定されるなど「文化財のまち 河内長野」と称されるのもうなずける。

河内長野ライオンズクラブが今回、「プログラミングで海のSDGs!」を開催したいと考えたのは、山々に囲まれた豊かな自然環境と、歴史と文化に富む町で伸び伸びと育つ子どもたちに、世界基準で時代の先端を行く知識や学びの場を提供したいという思いがあったからだ。「都会に出なくても、地元でも、そういうイベントがある、という地域にしたい」と結成55周年記念事業委員会副委員長の鉾谷祐二さんは語る。今回の事業は京都府亀岡市で同様の事業が実施されているのを見た鉾谷さんがクラブに提案をしたのがきっかけ。55周年記念事業として実施することが決まり、市役所や教育委員会、加えて共催する一般社団法人イエローピンプロジェクトとも何度も打ち合わせするなど準備を進めてきた。また、プログラミング教室を開催している鉾谷さんの知人にもワークショップの運営をお願いしたことで、当初予定していた内容よりも幅が広がった。

クラブの55周年記念事業にふさわしい内容になる。そう思っていた矢先に降りかかってきたのが新型コロナウイルスの感染拡大だった。顔を合わせることが出来ないため、打ち合わせをオンラインに変更。状況を注視しつつ、中止も視野に入れて実施可能な方法を探っていった。まずは参加者同士の距離が保てるよう、会場となる会議室を変更。当初の予定より2倍程広い会場を用意した。更に大阪府などの自治体が発表している指針、マニュアルなどの情報を集め、それにのっとり事業計画を立て直した。学校が休校になり、子ども向けのイベントは軒並み中止。コロナウイルスによって貴重な体験の場が無くなりつつある少年少女たちに、一つでも知的好奇心を刺激する機会を与えたい、との思いから準備を進めてきた。

ところが、大きな課題になったのが、ワークショップなどを担当するイエローピンプロジェクトのスタッフの存在だ。専門的な部分を担当し、代替が利かないため、東京からスタッフが来阪することは必須の状況だった。東京から参加するスタッフは実施ガイドラインに沿って不要不急の外出を自粛。毎日検温をし、手指の消毒をするなど出来る限りの感染予防をして臨むことにした。

更なる問題は参加者の感情である。ちょうど東京都の感染者数が増加し、政府主導の「Go To トラベルキャンペーン」の是非をめぐって日本中が揺れていた時期。不安を覚える人も多いと感じた。東京からスタッフが参加することを明記し、どのような感染対策を施しているかを示して募集を開始したのは7月16日。くしくも赤羽一嘉国土交通大臣が「Go To トラベルキャンペーン」で東京都の除外を表明した日である。参加希望者がいなければ中止しよう。そう考えて申し込みを受け付けた。ところがふたを開けてみたら、定員を超える申し込みがあった。このような状況下でも我々を信じて楽しみにしてくれている人がいる。十分な感染拡大対策を取って絶対に事業を成功させよう。クラブ・メンバーは一丸となって準備を重ねた。

レオクラブのメンバーがフェイスシールドを付けてワークショップを手伝う

こうして迎えた当日。会場であるキックス(河内長野市民交流センター)には河内長野ライオンズクラブ・メンバーとイエローピンプロジェクトの面々に加え、大阪志学台レオクラブのメンバーも集まった。ライオンズのメンバーは受付や設営を担当。レオのメンバーも同じように受付などを担うが、一部のメンバーはプログラミングのワークショップのアシスタントを担当する。準備前のミーティングでは、通常よりもかなり細かく、具体的なケースを例に挙げながら説明が行われ、メンバーも真剣に手順を確認していた。

来場者にはまず、メンバーが非接触型体温計による検温を実施する。手指の消毒後、入室。受付では自宅での検温結果・せきの有無など参加者の体調を記載した同意書を提出してもらう。同意書提出の証として名札を交付。受付には飛沫(まつ)が拡散しないよう、「ヒサシールド」という透明板を設置した。このヒサシールドはホテルや空港でも使用されている飛沫防止板。地元業者の協力により、無償で貸与してもらった。受付に列が出来てしまった際にソーシャル・ディスタンスを確保出来るよう、足元に待機場所の目安も貼った。スタッフはCOCOA(ココア/新型コロナ接触確認アプリ)への登録をすると共に、来場者には大阪コロナ追跡システムへの登録を呼び掛ける。講師やアシスタントは表情も分かるようにマスクではなくフェイスシールドでワークショップに臨む。メンバーらは定期的に手指の消毒をしながら作業を進めていった。

講演会には多くの人が訪れた(写真:河内長野ライオンズクラブ提供)

会場の利用時間制限があるため、準備はかなり急いで行われたが、ライオンズやレオのメンバーの奮闘によって完了。ワークショップは無事に始まった。ワークショップが開講中に、別会場で午後に行われる講演会の設営を実施。メンバーは休む暇もなく汗を流していた。その努力のかいもあり、講演会も盛況。80人を超える人が、海や川で現在起きているプラスチック汚染について大阪商業大学公共学部公共学科の原田禎夫准教授の話に耳を傾け、自分たちの取るべき行動について真剣に考えていた。

社会全体が新型コロナウイルスの影響を受け、停滞している空気の中、奉仕活動をどう実施するか、ライオンズクラブ全体でも模索が続いているのが現状である。そんな中、河内長野ライオンズクラブの取り組みは一つの試金石となると共に、イベントが無くなり、夏休みを満喫出来ない状況にある子どもたちにとって、貴重な思い出となったことだろう。

2020.09更新(取材・動画/井原一樹 写真/田中勝明)