投稿リポート フードバンクへ
食料を緊急寄付

フードバンクへ食料を緊急寄付

2020年、新型コロナウイルス感染症が世界中で拡大。日本の社会活動もほぼ停止状態となり、ライオンズクラブの事業や活動にも大きな制約を受けた。イベントや会議はことごとく中止や延期となり、会員の日常もうつうつとした重苦しい状態が続いた。

そうした中、5月6日の中日新聞しずおかに「『命の糧を』SOS急増 フードバンク寄付募る」という記事が掲載された。県内全市と連携するNPO法人フードバンクふじのくにでは、3月以降フードバンクの需要が急増。母子家庭や外国人からの依頼も多く、通常は月240件ほどの依頼が550件と倍増する中で、食材の寄付を呼び掛けるものだった。

記事を読んだ334-C地区(静岡県)の1リジョン4ゾーンに所属する六つのライオンズクラブ(掛川、菊川、大東、御前崎、小笠、大須賀/合計会員数184人)の会長たちから、「こういう時だからこそ、ライオンズクラブとしてフードバンクへの食料寄贈に取り組んだらどうだろうか」という声が上がった。我が4ゾーンは、掛川市、菊川市を含む東遠(とうえん)という地域で、外国人の居住が多い。一人親世帯や外国人が困窮しているという記事の内容は大変身近に感じられ、何とか協力したいという気持ちになった。

早速企画書を作成し、各クラブに協力を求めた。今回の企画では、新型コロナの影響で仕事を失い、今日にも食べる物がなくて困っている人が大勢いることから、速やかに届ける必要があり、スピード感が大事であると考えた。中には、もう少し準備時間が必要だといった意見もあったが、反対はなく、ぜひやろうと話はまとまった。この事業ではライオンズの会員だけでなく、市民の皆さんにも協力を呼び掛けることにした。これは近年私たちが心掛けていることで、ライオンズ内だけで完結するのではなく、市民にも参加頂き協働して社会貢献をしたいという思いでもあった。

まずは説明用ビラの作成・印刷を3日間で終え、4ゾーン内の各クラブに必要部数を配布した。「命の糧をSOS 少しずつのお裾分けを」と題し、フードバンクの現状や、集める食品の種類、集荷場所や連絡先、集まった寄付の流れなどを記載したものだ。食料の受付期間は5月20日~6月15日としたが、スピード感が重要という認識から、まず第1回目として主に会員から集めた食料をおおむね2週間以内に、更に第2回目にその後の2週間に集まった市民らの協力分を、フードバンクふじのくにへ届けた。フードバンクの担当者は、「毎日・毎刻のように、あちらこちらから食料の要請がある。いくらあっても足りない状況だ。たくさんご寄付頂き、大変ありがたい」と話された。

各クラブ会長への依頼などは主にEメールで連絡。その後クラブ会長から会員への説明が確実に成され、多彩な食料を素早く、たくさん集めることが出来た。会長や会員の中には、知り合いの店や企業にビラを持って協力依頼に出向いてくれた人もおり、奉仕の輪を広げて頂いた。また地域の地区センターや文化センター等にビラを置いてもらったり、市民団体が運営するインターネットの掲示板に寄付募集の案内を載せて頂いたりもした。その結果、予想をはるかに超える総重量で1981.3㎏の食料品が集まった。精米707㎏、インスタント食品2325食、缶詰421個の他、調味料、食用油、ペットボトル飲料、茶、菓子、それに現金等、多種多様な品である。

寄付を頂いた市民の皆様、企業の皆様、会員各位に、心からの敬意と感謝を申し上げる。今回参加くださった市民の間からは、「ライオンズクラブってこんなこともやってるんだ」という反応があった。奉仕活動を通じてライオンズクラブへの親近感・存在感を感じて頂けたことは、大いなる収穫である。なお、このフードバンクに対するライオンズの支援は、複数の新聞社により複数回にわたり報道された。
 
2020.06更新(ゾーン・チェアパーソン/菊川ライオンズクラブ・北沢俊一)