取材リポート 西日本の選手が集まる
笑顔あふれる卓球大会

西日本の選手が集まる笑顔あふれる卓球大会

10月20日、岡山市障害者体育センターにおいて、岡山障害者卓球大会が実施された。これは岡山マスカット ライオンズクラブ(難波智恵子会長/21人)と岡山旭卓友会が主催する大会で今回が39回目の開催となる。1995年に結成された岡山マスカット ライオンズクラブが主催を務めるのは今回が24回目。クラブが結成されて初めて実施した事業がこの大会の主催だった。もともと、岡山マスカット ライオンズクラブの親クラブである岡山あげはライオンズクラブが大会を支援しており、その事業を引き継いだ形である。

かつてこの障害者卓球大会は9月に実施されていたが、まだ気温が高いため、時期をずらした。卓球はわずかな風でも球の軌道が変わってしまうため、空調が入れられないのだ。それからは毎年10月に実施している。

大会は「立位の部」と「車椅子の部」に分かれており、それぞれ男女の部がある。形式はリーグ戦の総当たり。だが、参加人数が多い部門では選手を複数のリーグに分け、各リーグの上位の選手で勝ち抜き式決勝トーナメントを実施している。当初は身体に障がいがある人だけが参加対象だったが、現在は知的障がいのある人も参加可能だ。

今年の参加者は約50人。選手の所属を見ると県外からの遠征も多い。中国地方、四国地方はもちろんのこと、京都や愛知からも参加している。今年はパラ卓球日本代表の海外遠征期間とかぶっていたため、代表選手は参加しなかったが、過去にはそうした選手も参加している。障がい者の卓球大会は数が少ないため、西日本の選手にとっては貴重な機会だという。日頃の練習の成果を出す真剣勝負の場だ。

それでも大会では笑顔があふれる。皆、卓球をするのが楽しいという表情でプレーしている。そんな姿を見ると、ライオンズクラブのメンバーもやりがいを感じるという。

岡山マスカット ライオンズクラブは会場の設営から弁当の用意、飲み物の提供などを担当している。その中でも一番大変なのが球拾いだ。車椅子の選手などは床に転がった球を拾うのに時間がかかってしまう。そのため、各試合には球拾いを担当する人がいる。ライオンズクラブのメンバーもその役割を担い、各卓球台についている。球拾いで大事なことは試合のペースを乱さないこと。球が飛んできたら迅速に拾う必要がある。だが、卓球の球は軽く、スピンもかかっている。思わぬ所へ飛んでいくことも多い。他の試合の邪魔をしないよう、かなり神経を使う上に重労働だ。大変な仕事だが、長年やっているとだんだん球筋が見えてくるという面白さもある。また、身近でプレーに接するため、その迫力や、選手の思いも伝わってきて感動するという。

この卓球大会には他クラブのメンバーも手伝いに来てくれる。結成から20年以上が経ち、平均年齢も上がってきた岡山マスカット ライオンズクラブとしてはありがたい限りだ。応援に来てくれる他クラブのメンバーからもこの事業は好評。プレーを見て「驚いた」「感動した」という感想をもらうことも珍しくない。

真剣に白球を追い、負けたら悔しがる。1日中、会場はそんな選手たちの熱気に包まれていた。それを感じると、クラブとしてこれからもずっと続けていかなければという使命感にも燃える。毎年のように参加して、顔見知りになった人とはあいさつを交わし、近況報告にも花が咲く。

この日は2018年から始まったプロ卓球リーグ・Tリーグに参戦しているチーム岡山リベッツからもボランティアとして手伝いに来てくれた。審判や球拾いを担当し、出場選手たちとも交流していた。

岡山の特産であるジーンズの「リベット」が岡山リベッツのチーム名の由来である。リベットとはポケットの端についている金具のこと。作業着として着られることの多かったジーンズの縫い目を補強するためにつけられたものだ。岡山と卓球をくっつける役割を担いたいという思いからこのチーム名が選ばれた。こうしたことから、岡山リベッツは地元での活動にも力を入れたいと考えている。岡山マスカット ライオンズクラブもこの縁を大事にしたいと考えており、今後、岡山リベッツと共に実施出来る事業を模索中だ。岡山の卓球シーンを盛り上げる。その一翼を岡山マスカット ライオンズクラブが担っていく。

2019.12更新(取材・動画/井原一樹 写真/関根則夫)