ニュース令和元年台風第19号災害
被災地支援に向けて

令和元年台風第19号災害 被災地支援に向けて

10月12日午後7時頃、台風19号が大型で強い勢力を保ったまま、静岡県の伊豆半島に上陸。台風はその後、関東地方を縦断しながら広い範囲に記録的な大雨をもたらし、東日本の各地に大きな爪痕を残した。

この台風は非常に大型で、日本に接近する前から列島各地で激しい雨が降り、東北や関東甲信を中心に103もの地点で24時間降水量の観測史上1位を更新。神奈川県箱根町では1日の降水量が、全国の観測史上1位となる942.5mmに達した。これに伴い、気象庁は12日の夕方に静岡県、神奈川県、東京都、埼玉県、群馬県、山梨県、長野県に大雨特別警報を発表。その後、栃木県、茨城県、新潟県、福島県、宮城県、岩手県にも次々と大雨特別警報が出され、台風19号による特別警報は13都県と、史上最多の発令となった。

茨城県水戸市の被災地を視察し、軒下まで浸水した住宅の男性から被災状況を聞く識名理事長と藤川専務理事

国土交通省によると、台風19号による豪雨で、川の堤防が壊れる「決壊」が7県の71河川、140カ所で発生(10月28日現在)。この他、川の水が堤防を越える「越水」や堤防のない場所で川の水があふれる「溢水」などは16都県の延べ271河川に上った。また住宅被害について、総務省消防庁は31都道府県で約7万9300棟に達したと発表(10月28日現在/10月25日からの大雨による被害も含む)。内訳は、全壊605棟、半壊3403棟、一部損壊4915棟、床上浸水3万3736棟、床下浸水3万6605棟。特に床上浸水は、約7000棟だった西日本豪雨の5倍近くに上り、近年では最大級となった。都道府県別では栃木県が約1万9500棟、福島県約1万5400棟、宮城県約1万5200棟、長野県約9300棟、埼玉県約5500棟などとなっている。

こうした甚大な被害を受けて、政府は台風19号を、被災者に行政上の特例措置を適用する「特定非常災害」に指定することを決めた。特定非常災害はこれまで阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、東日本大震災、熊本地震と、昨年の西日本豪雨が指定されており、今回で6例目となる。また、災害発生直後の救助活動や住宅の修理などにかかる費用を国が支援する「災害救助法」を、14都県の合わせて391市区町村に適用することも決定。内訳は岩手県が14市町村、宮城県が県内全てとなる35市町村、福島県55、茨城県30、栃木県21、群馬県30、埼玉県48、千葉県41、東京都29、神奈川県19、新潟県3、山梨県20、長野県44、静岡県2となっている(千葉県と東京都は先の台風15号被害を含む)。これは2011年の東日本大震災で津波などの被害を受けた10都県、241市区町村を大きく上回り、被害が非常に広範囲に及んでいることを物語っている。

大髙333-E地区ガバナーの案内で被災地を視察し、秋葉宗志副市長と情報交換をする識名理事長

今回の台風19号災害に対して、ライオンズクラブではまず、ライオンズクラブ国際財団(LCIF)が大災害援助交付金(MCAT)15万ドルの交付を決定。一般社団法人日本ライオンズも10月18日に、前日17日の社員総会で組織案が承認されたアラート委員会の会議を開き、今後の支援体制について検討した。会議では被災地区の委員から現状報告があり、その中で332複合地区の久保田善九郎委員長(福島県・郡山東ライオンズクラブ)から地区内で実施した被災状況調査結果が提出され、その表をひな形に全被災地区の被災状況を確認することになった。

会議後、日本ライオンズの識名安信理事長(沖縄県・八重山ライオンズクラブ)と藤川清孝専務理事(群馬県・前橋中央ライオンズクラブ)の2人が、被災地の一つ茨城県水戸市へ直行。333-E地区(茨城県)の大髙宣靖地区ガバナーの案内で、被害が大きかった水戸市北西部の被災地を視察した。

水戸葵ライオンズクラブは10月15、16日の2日間、水戸市の被災地区でボランティア活動を行った

大髙ガバナーによると、飯富町、藤井町、岩根町など今回被害が出た一帯は那珂川と支流の藤井川や西田川に囲まれた低地で、これまでも何度か水害に見舞われてきたという。そのため、昔はそれぞれの家に避難用の船があったたほどで、大雨が降れば浸水する地域との認識は、被災地区の住民にも他の地域の市民にもあったと話す。ただ、今回の洪水は住民にとっても、過去の経験を超える想定外のもので、視察中に出会ったお年寄りの一人は、以前は自分の胸まで水がきたことがあったが、今回は背丈をはるかに超える水量だったと証言。国土地理院は水戸市北部の常磐自動車道水戸北インターチェンジ付近で浸水の深さが7.2mに達していたと推定しているが、これはビルの2階が水没し3階が床上浸水するのと同じレベルで、専門家は「過去の水害でもまれにしかない深さ」だと話している。

この他、茨城県では常陸大宮市、常陸太田市、大子町などで、那珂川や久慈川、更にはその支流が氾濫。浸水による住家被害は約3000棟に及んでいる。ライオンズクラブでは、国のポンプ車による排水作業が終わったエリアから支援活動に入り、15、16日には水戸市内や土浦、岩井、霞ケ浦などのライオンズクラブが現地に入り、被災家屋で泥出しや家具の運び出しなどの作業を行った。

10月16日、水戸市の被災家屋で片付け作業を手伝う土浦ライオンズクラブのメンバー

視察を終えた識名理事長と藤川専務理事は、この日開催されたアラート委員会の決定通り、各地区キャビネットを通じて被災状況を調査した後、日本ライオンズとして義援金を募集するなどの支援計画を立てる方針を確認。その上で、日本ライオンズ・アラート委員会として、各地区・複合地区と協調しながら、長期的な展望に立って、被災された方たちに寄り添った支援活動を展開していくことを申し合わせた。

2019.10更新(取材/鈴木秀晃)