テーマLCIF交付金を活用し
熊本地震被災地を支援

LCIF交付金を活用し熊本地震被災地を支援

ライオンズクラブ国際協会では、災害が起きた時に備えアラート・プログラムを策定。災害の規模により、クラブ・レベルでの対応が求められる事態をレベル1、地区レベルでの対応をレベル2、複合地区や国レベルでの対応が必要とされる大災害をレベル3としている。

日本では、1995年1月17日の阪神・淡路大震災や、2011年3月11日の東日本大震災はまさにレベル3の大災害であり、近いところでは16年4月の熊本地震もレベル2ないしレベル3に該当する大きな災害となった。

この熊本地震に対しては、各地のライオンズクラブが地震発生直後からさまざまな支援活動を展開。本震翌日には一部のメンバーが現地に入り、特に被害が大きかった益城町、西原村、南阿蘇村などで、状況の確認とニーズの把握、支援の調整などを行った。これにより1週間後には西原村で沖縄県・八重山ライオンズクラブと福岡大名ライオンズクラブが合同で炊き出し奉仕を実施。また鹿児島県・加世田ライオンズクラブも支援物資を持って南阿蘇村に駆け付け、同村在住の高森ライオンズクラブ会員らの案内で避難所へ搬入した。

2019年3月に竣工し、4月10日から本格稼働した益城町学校給食センター

その後も、地元の337-E地区(熊本県)が南阿蘇村の福祉避難所で運営補助に当たったり、周辺地区のライオンズが中心となって支援物資を搬入したり、炊き出しを行ったりした。更に、それらの活動はライオンズクラブのネットワークを通じて全国に拡幅。5月中旬には1週間以上にわたって、益城町と西原村の12カ所で関東や関西のライオンズによる炊き出し奉仕が行われたり、夏には南阿蘇村に全国30クラブを超えるライオンズ有志が集って地元高森ライオンズクラブと共に復興イベントを開催したりした。

一方、ライオンズクラブの慈善組織であるライオンズクラブ国際財団(LCIF)では、災害のための交付金として、緊急援助交付金と大災害援助交付金の2種類を設けている。

緊急援助交付金は、地震や津波、台風、洪水、竜巻など、100人以上の人に避難勧告が出されるか、または影響を及ぼすような自然災害において、その該当地区に最大1万ドルが交付される。 被災地区の責任者である地区ガバナーは、食料、水、衣類、医薬品など、緊急支援物資を被災地に提供するために、この交付金を申請することが出来、LCIFでは通常、毎年200万ドルを超える緊急援助交付金を承認している。

給食の配送用に4台のトラックも寄贈した

より深刻な被害をもたらす大規模災害が発生した場合、LCIFは緊急のニーズに対応した後も、被災者のサポートを継続し、人々の暮らしの再建という重要な活動に引き続き尽力する。そのためにLCIFでは100万ドルを上限とした大災害援助交付金を設け、阪神・淡路大震災や東日本大震災などの大規模災害が起きた時に、その被災地の復興を支援する重要な資金として交付している。

更に、こうした大きな災害の場合、LCIFでは指定献金口座を設け、世界中のライオンズから寄付された資金を集約して、被災地へ指定交付金として提供することがある。これまでに交付された主な事例としては、04年のインド洋大津波に1500万ドル、05年のハリケーン・カトリーナに500万ドル、11年東日本大震災に2000万ドルなどがある。

配膳室から食缶や食器を教室へ運ぶ給食当番の児童たち(益城町立飯野小学校)

16年4月に発生した熊本地震に対しては、総額3億9537万5000円の交付金がLCIFから提供され、地元337-E地区(熊本県)のライオンズが中心となって策定した事業が実施された。このうち、大災害援助交付金25万ドル(2550万円)で実施された事業は下記の通り。
1)甲佐町仮設団地スピーカー取り付け(204万8760円/交付金申請者:熊本県・甲佐ライオンズクラブ)
2)西原村保育園及び小・中・高校器材購入(566万928円/交付金申請者:熊本県・肥後東ライオンズクラブ)
3)上益城建設高等職業訓練校支援(458万円/交付金申請者:熊本平成ライオンズクラブ)
4)南阿蘇村小・中学校教材・器材支援(834万9976円/交付金申請者:337-E地区)
5)益城町小・中学校教材・器材支援(486万336円/交付金申請者:337-E地区)

また、337-E地区が熊本地震関連の最大の事業として企画した益城町学校給食センターに対しては、指定献金などを元にLCIFから3億6987万5000円(336万2500ドル)の支援があった。

益城町の給食センターは地震により建物全体が傾き、ボイラーが破損するなど壊滅的な打撃を受けた。その一方、地震直後から、自衛隊を始め被災地支援団体から町に対し、炊き出し用に給食センターを使わせてほしいとの要請が多く寄せられたが、機能不全に陥っていたためセンターを活用することは出来なかった。そこで町ではこの教訓を踏まえ、災害時に活用出来る施設として再建することを目指した。が、被害を受けた公共施設は給食センターばかりではなく、多くの復旧復興事業を抱える益城町にとって、給食センターの事業は重い負担となっていた。
「熊本地震では役場庁舎を始め給食センターなど、公共施設が壊滅的な状況になりました。復旧復興の事業費は莫大な金額で、町として財政的にかなり厳しい状況でした。そんな時に、ライオンズクラブの皆様が厨房機器や配送車、食器など、給食センターの支援に乗り出してくださり、19年の新学期から町内の全小中学校で自前の給食を再開させることが出来ました。子どもたちはもとより関係者一同とても喜んでいます。また、町長を始め議会や教育委員会でも、ライオンズの支援に対する感謝の言葉がいつも出ています」(安田弘人益城町学校給食センター所長)

益城町学校給食センターへの支援事業は、熊本ライオンズクラブの計画として始まった。同クラブは地震が発生した16年にクラブ結成60周年を迎え、その記念事業を熊本地震で最も被害が大きかった益城町の支援に絞り、西村博則町長と折衝を始めた。その中で、町が給食センターの再建資金集めに苦戦していることを知った。が、事業規模が大きく、単一クラブでの実施は困難と判断し、337-E地区キャビネットに相談。同地区アラート委員会で検討の上、地区としての支援が決定し、LCIFヘ交付金を申請した。

事業の責任者だった村中尊裕亀元337複合地区ガバナー協議会議長は当時を振り返りながら、
「この事業は、子どもたちに温かい給食を、と熊本ライオンズクラブから提案があり、地区の事業として取り組むことになりました。かなり大掛かりな事業計画でしたが、LCIFからは私どもの申請通りの約3億7000万円という大きな金額を交付して頂けました。全世界のライオンズクラブに感謝致します。これを機に私どもも、LCIFヘより一層の貢献が出来るよう力を尽くしていきたいと思います」
と話している。

こうして再建された益城町学校給食センターでは19年3月1日から一部学校で給食を開始。そして新学期の4月10日から本格稼働し、益城町内の小学校5校、中学校2校の児童・生徒約3400人分の給食提供を始めた(「熊本地震災害に対するLCIF交付金事業が完了」)。再建されたセンターはオール電化で1日最大3500食の調理が出来、炊き出しのための非常用調理室や備蓄倉庫、自家発電装置などを備えている。総事業費は約20億5000万円。このうちライオンズクラブでは、配送トラックや調理場の備品、町立小中学校の全児童・生徒が使用する食器などの調達費用を支援した。

2019.07更新(取材/鈴木秀晃 写真・動画/田中勝明)