取材リポート 毎回違うメニューを提供
うめぇものまつり出店

毎回違うメニューを提供うめぇものまつり出店

秋田県南部にあり、日本海に面している由利本荘市。2005年に本荘市と由利郡矢島町・岩城町・由利町・西目町・鳥海町・東由利町・大内町が合併し、生まれた市だ。中心部である旧本荘市は8世紀頃から交通の要衝として栄えてきた。海水浴場やスキー場もあり、夏も冬も楽しめる市だ。そんな由利本荘市の旧大内町を中心に活動しているのが大内ライオンズクラブ(佐々木隆会長/15人)である。

この旧大内町に道の駅おおうちがある。JR羽越本線の羽後岩谷駅と連絡通路でつながっており、情報提供施設や物販コーナーに加え、温泉や宿泊施設が入っている複合施設的な道の駅だ。

道の駅おおうちでは夏と冬に「大内うめぇものまつり」というイベントが実施されている。地元の団体がさまざまなメニューを出店するのに加え、夏はスイカ割りやスイカの種飛ばし大会、冬は餅つきや福引きなども実施される。地域の人を中心に800人から1000人が訪れるこの祭りに、大内ライオンズクラブも毎回出店している。クラブの目的の一つが事業資金獲得だ。

祭りが始まったのは6年前。ライオンズクラブでは5年前から参加している。かつて大内ライオンズクラブの活動は地域への寄付など金銭事業が中心だった。しかし、会員が減少し、大きな金額の事業を実施することが年々困難になってきていた。その状況を変えようとクラブで資金獲得事業に取り組むことになった。この時、メンバーの目に留まったのが大内うめぇものまつりだった。クラブ単独で資金獲得事業をするのではなく、地元の祭りを盛り上げつつ、資金を獲得出来れば、地元の人にライオンズクラブのPRも出来、一石二鳥だと考えた。結果は大好評。チャリティーゴルフ大会など他の資金獲得事業で得た資金と合わせて購入した物品を、高齢者社会福祉施設に寄贈している。

うめぇものまつりでは価格が1皿200円と統一されている。その中で収益を得られるよう工夫をしなければならない。毎回同じメニューを出し続ける方が楽ではあるが、いつも同じものだと飽きられてしまうだろう、と直近の回とはメニューを変えている。今年は馬肉鍋とおでん。おでんは過去にも出したことがあったが、馬肉鍋は初めての試みだ。買った人に満足してもらえるよう、2カ月ほど前から例会でメニューを選び、試行錯誤を繰り返し提供している。材料には地元の産品を使用するようにしており、この面でも地元に貢献しようという意図が明確だ。食品の衛生面や保健所への提出書類についても飲食店を経営するメンバーが気を配っており、トラブルが起きないようにしている。

また、クラブでは参加団体と協力して道の駅の中庭にそり遊びのための雪山も作っている。冬は子どもたちにとって、なかなか外で遊べない退屈な季節。雪山では多くの子どもたちが時間を忘れて楽しんでいた。けがなどを防ぐのもメンバーの大事な仕事。雪山の上と下で常にメンバーが子どもたちを見守っていた。今年のように雪が少ない年は、遠方から雪を運んできている。

加えて、ライオンズクラブでは射的も実施。空気銃で撃ったコルク玉がお菓子に的中し落ちればそれをもらうことが出来る、昔ながらの射的だ。クラブは景品のお菓子を提供し、メンバーが進行を担当する。銃口の先に人が入らないよう気を配り、順番待ちの子どもたちの列を作る。子どもたちは待ちきれない様子で列に並んでいた。

毎年2回開催される大内うめぇものまつり。事業資金獲得、ライオンズクラブのPRという目的に加え、メンバーが協力して行うことで、クラブ内の結束にもつながっている重要な事業だ。次は夏のうめぇものまつり。大内ライオンズクラブでは、冬の反省を生かして準備を進めていく。

2019.04更新(取材・動画/井原一樹 写真/関根則夫)