フォーカス観客も選手もスタッフも
皆が楽しい大会を目指して

観客も選手もスタッフも皆が楽しい大会を目指して

フライングディスク、いわゆる「フリスビー」は1940年代に誕生、アメリカのコネチカット州にあるエール大学が発祥の地と言われています。ここの学生たちがパイの皿を投げて遊んでいたのです。この皿が「フリスビー・ベーカリー」というお店のものだったので、「フリスビー」という名前が定着しました。これは商品名なので、協会名など公的な場合は「フライングディスク」という名前が使われています。

そういうわけで、私が会長を務める協会も岡山県障害者フライングディスク協会と名付けられたのです。

障がいのある方のスポーツの全国大会には、変遷の歴史があります。現在、毎年1回開かれている全国障害者スポーツ大会は夏季国体の後に同じ場所で実施されています。この大会では障がいの種類にかかわらず、全ての障がいのある方が一緒になって参加する大会となっています。が、かつては身体障がい者と知的障がい者の大会は別々に実施されていました。私はその片方、全国身体障害者スポーツ大会に役員として参加してきましたが、96年に北海道札幌市で開催された第5回全国知的障害者スポーツ大会(ゆうあいピック)で岡山のフライングディスクチームの引率を担当したこともあり、どちらの大会にも関わっていました。

これら二つの大会が統合されたのが2001年のことです。そして、岡山県障害者フライングディスク協会も01年に設立されました。05年の全国障害者スポーツ大会が岡山で開かれると決定したことがきっかけです。開催に当たり、ホストとして、県内で障害者フライングディスクを統括する役割の出来る団体を作る必要がありました。そこで声が掛かったのが私でした。私は障がい者施設で30年近く働いてきたこともあり、前述の通り、障がい者スポーツともなじみがあったからです。

障がい者スポーツと言えば、障がいの度合いによって区分がありますよね。陸上の大会なんかだと同じ障がい区分の選手が他にいないから一人で走るというようなこともあります。ですが、障がい者フライングディスクは、障がい区分がないんです。これが最大の特徴と言ってもいい。みんなが同じ条件で楽しむことが出来るんです。

障害者フライングディスクでプレーされる競技は主に二つです。

投げた距離を競う「ディスタンス」と、10投してそのうち何投が輪を通ったかを競う「アキュラシー」です。アキュラシーの場合、目が見えない方もプレー出来るように、補助棒と音源を使用することがあります。補助棒は投てき位置のプレートに取り付けて使用し、選手が触ってゴールの方向を確かめることが出来ます。音源はゴール裏の審判が鳴らし、やはりゴールの方向を示します。口を使って投げる方もいらっしゃいますし、みんなが楽しく参加出来るのがこの競技の魅力の一つだと思います。

岡山県障害者フライングディスク協会では毎年、交流大会や公認指導者養成兼フォローアップ講習会、変わったところではフライングディスクゴルフ大会(ゴルフ場などでボールの代わりにディスクを投げ、バスケット型のゴールへ入れるのを競う競技)などを主催しています。県のスポーツ大会などでは主管も務めますし、全国障害者スポーツ大会にも参加しています。他にも普及活動として講習会や体験会も実施しています。そんな中で大事にしているのが、競技に参加される方、みんなが主役であるという気持ちです。これは選手に限らず、スタッフ、観客、競技に関わる全ての人を指します。だから、みんなで楽しく取り組むことを重視しているんです。

障がい者スポーツには力があります。障がいのある方の社会参加のきっかけや、自立の助けになります。私が印象に残っているのは、初めて全国身体障害者スポーツ大会の役員として参加した沖縄かりゆし大会の時のことでした。1987年のことです。沖縄が本土復帰してから15年。今でこそ、沖縄が日本の国土であると感じるのは当たり前かもしれませんが、当時はまだ「復帰した」という印象が残っている時の大会です。その中で多くの障がいのある選手が懸命にプレーする。沖縄が復帰したという背景も手伝ってか、その姿を見て、とても感動したんです。もちろん障がい者スポーツの意義などは分かっていたつもりですが、そのすばらしさを改めて実感した大会となりました。あの感動があったから今があると言っても過言ではないです。あれからみんなが主役になるような大会、交流会に出来るように努力しています。その成果が出ているのかは分かりませんが、大会などに参加される方が声を掛けてくれるようになりました。体験会などを手伝ってくれる障がいのある選手もいます。

障がい者スポーツと言うとあまりなじみがない人が多いかもしれませんが、どんな人とも一緒にプレー出来る障害者フライングディスク、ぜひ多くの人に体験してもらいたいと思います。

2019.01更新(取材・構成/井原一樹)

なんば・しげる 1944年、岡山市生まれ。2001年2月に設立した岡山県障害者フライングディスク協会で会長を務める。08年、岡山シニア ライオンズクラブ入会。今年度6期目の会計を務めている。