取材リポート ジュニアカーリング
大会開催

ジュニアカーリング大会開催

10月6日から7日にかけて、札幌市にある、どうぎんカーリングスタジアムで、札幌大通ライオンズクラブ(大浦洋一会長/29人)が主催する全国ジュニアカーリング大会が開催された。参加したのは札幌を中心とした12チーム。今回で2回目の開催だ。

札幌大通ライオンズクラブでは、長年実施してきた事業に一区切りがつき、青少年育成をテーマとした新たな事業を模索していた。そこで市の体育協会に打診。支援する競技を募集したところ、一番積極的に手を挙げたのがカーリング協会だった。

2017年の初回はクラブと協会とで1年半にわたり準備をして、開催に至った。クラブにカーリングに詳しいメンバーがいるわけでもなかったため、まずはカーリングを取り巻く環境について知るところから始まった。

平昌(ピョンチャン)オリンピックで日本中を巻き込みブームになるなど、近年大いに盛り上がるカーリングだが、競技人口はその知名度に比して少ないという。札幌市内で部活動となっている学校はほぼない。札幌の大学では札幌国際大学と北海道大学にチームがあるだけだ。おのずと大会の開催も少なくなる。そのため、せっかく始めた子どもたちもカーリングから離れてしまうという状況になっていた。そんな状況に頭を悩ませていたカーリング協会にとって、札幌大通ライオンズクラブの新事業は渡りに船だったのだ。第1回が終了した11月、クラブと協会とで反省会を開催。そこで出た課題を踏まえて、年明けから第2回大会の準備を進めてきた。

カーリングは経験がものを言う競技だ。「氷上のチェス」と言われるが、特別な筋力や体力が必要な競技ではないため、経験に差があれば、小学生が大人を倒すことも可能である。逆に言えば、小さい頃からプレーする機会がなければ、競技レベルは上がっていかない。カーリングは道内でも札幌より稚内や北見のチームが強いという。道外に目を向ければ、長野や青森など、盛んな地域がある。クラブとしては、札幌の競技レベルを上げる一助となればと考えている。

課題はチームの参加数と規模だ。「全国」と銘打っているが、まだまだ知名度の低い大会。初回は青森県から参加チームがあったが、今年は他のイベントと重なってしまい、北海道内のチームだけが参加した。この大会の優勝チームが長野で行われる大会に招待されるなど、他県との交流はあるが、遠方のチームはなかなか参加しにくいのが現状だ。クラブでは今後、道内の参加チーム数を増やし、大会のレベルを上げていくことで他県のチームにとっても目標となる大会にしていきたいと考えている。

また、2日目である7日は昼に昼食会兼交流会を実施。参加したチーム同士が交流出来る機会を作っている。クラブがお弁当を提供し、皆で食べる。その際に各チームが簡単な自己紹介をし、記念の色紙に皆でメッセージを書き込むのだ。氷上では対戦相手でも、リンクを離れたら同じカーリング競技を愛する子どもたち。会話も弾んでいた。この交流会の準備や、受付はメンバーが担当。カーリングについての知識も徐々についてきた。

2日間にわたり行われた第2回全国ジュニアカーリング大会。優勝したのは昨年と同じ絆ソラプチだったが、どの試合も白熱した戦いが繰り広げられていた。

カーリング協会から支援の申請があった時、クラブはこう伝えた。
「うちは1年2年やって終わりということはないですから」
この言葉に嘘はない。5年、10年という長いスパンで競技の普及の一助となり、札幌のカーリングのレベルを上げる大会にするべく、続けていく予定だ。ゆくゆくは大会参加者の中からオリンピック選手を輩出したいと考えている。

「大会を開催してくれて、ありがとうございます」
第1回を終えた時、あるカーリングチームのコーチから言われた言葉を胸に、クラブでは来年もこの大会を開催する。

2018.11更新(取材・動画/井原一樹 写真/関根則夫)