取材リポート 親子で組み立てる
ラジオ教室開催

親子で組み立てるラジオ教室開催

3月10日、新神戸駅から車で15分ほどの所にある美野丘小学校で、神戸灘ライオンズクラブ(下村隆会長/25人)と兵庫県電波適正利用推進員協議会が主催するラジオ組み立て教室が開催された。今回が3回目。対象は美野丘小学校に通う4、5、6年生とその保護者だ。総務省近畿総合通信局が後援し、一般財団法人日本アマチュア無線振興協会が協賛している。

教室では毎回、ラジオを組み立て始める前に、電波についての講義も行っている。兵庫県電波適正利用推進員が担当するこの講義では、LEDライトを電池につなげて光らせるところから始まった。その後、コンセントから引いたコードにつなげ、直流電流と交流電流の違いを説明。LEDライトを動かすことで交流によって点滅しているところを分かりやすく視覚化した。ここから転じて周波数の話に。2011年、東日本大震災で関東以北の電力不足が叫ばれた際、電気の周波数が東と西とで違うために兵庫を含めた西側の電気を融通することが出来なかった話や、ラジオやテレビ、携帯電話などに使われている電波の周波数の違いなど具体例を挙げて説明する。最初は何となく聞いていただけの子どもたちも、想像しやすい身近なものに電波の技術が使われていることを知り、積極的に質問や意見が出るようになった。

神戸灘ライオンズクラブがラジオ組み立て教室を始めたのは2016年のこと。元々、青少年健全育成事業に力を入れていたが、メンバーの田岡一樹さんが無線機のメンテナンス会社を経営している関係で総務省とのつながりがあり、兵庫県電波適正利用推進員協議会を紹介してもらえたのがきっかけでこの事業を始めた。当初は公民館などでの開催を予定していたが、はんだごてを使用するため、安全性の確保が課題だった。そんな中、美野丘小学校が受け入れてくれることになる。小学校の理科室を使えば、必要な設備も全てそろっているため、話は一気に進んだ。3月は卒業式などの行事があり、日程調整には多少苦労することもあるが、継続して実施しているうちに、打ち合わせなどもスムーズになってきた。

クラブでは物作りの楽しさを感じてほしいという思いで実施している。そのため、子どもたちがのびのびと作業出来る環境づくりを心がけている。けがなどの事故が起きないようにするのは当然のことながら、全員のラジオがちゃんと鳴ることも重視しており、メンバーも兵庫県電波適正利用推進員の方々もラジオ作製のサポートに入る。一人で参加した子どもたちにとっては、特に助けになる存在だ。

事業をやってみて意外だったのは、女子の参加が男子の数を上回っていること。男の子も女の子も積極的に参加しており、毎年来てくれる子もいる。近年は危険性がある作業を避ける傾向もあり、こうした機会は貴重だと言う。はんだごてなどの危険性はしっかり説明した上で実施し、保護者やメンバーなどの大人が近くにいることで事故を防いでいる。説明書を見ながら、親子で作ったラジオがちゃんと放送を受信した時の子どもたちの表情を見ると、メンバーの苦労も報われる。

さまざまな団体の協力によって実施出来ているこのアクティビティ。皆が同じ方向を向いて開催している地域密着の活動として、クラブでは今後も事業を継続していく予定だ。

2018.05更新(取材・動画/井原一樹 写真/関根則夫)