取材リポート 春を肌に感じて
歩け歩け

春を肌に感じて 歩け歩け

そよそよと頬をなでる春風が心地良い日曜日となった4月1日、坂戸ライオンズクラブ(加藤則夫会長/34人)恒例の歩け歩け大会が開催された。関東有数の清流・高麗川(こまがわ)沿いなど全15キロの行程を歩き、自然豊かな地域の良さを再確認しながら、健康づくりにもつなげようという催し。今年は開催を約1カ月早めたが、おかげで数日前に満開を迎えた桜を眺めながらの「花見ウォーキング」となった。

歩け歩け大会の開始は午前9時30分だが、その1時間も前から受付会場には参加者が集まり出した。受付では参加費500円を支払い、参加の印である青いリボンに、クラブが用意した飲料水と飴一袋を受け取る。参加募集の告知は市の広報誌だけで行っているので、参加者のほとんどが坂戸市民。しかも多くがリピーターだ。大会当日は好天に恵まれたため他の行楽に出掛けてしまうのでは、という危惧もあったが、事前申し込みと同数の160人の参加があった。

受付会場のすぐ目の前に広がる浅羽ビオトープは、坂戸市の西部を流れる高麗川の南側に作られた自然環境の保全区域。人工のせせらぎに沿って雑木林や散歩道が設けられ、自然観察公園として地元の人たちに親しまれている場所だ。バードウォッチングの名所としても知られ、県内外から多くの人が訪れる。この浅羽ビオトープを出発し、高麗川の土手に整備されたふるさと遊歩道を進んで、折り返し地点の坂戸市民総合運動公園の野外活動センターまでがコース往路となる。

野外活動センターでは、クラブのメンバーが参加人数分の食事を用意して到着を待っている。施設の炊事場でメンバーが作る豚汁は、この大会の名物。前日のうちに材料を仕込み、当日朝から巨大な寸胴鍋で煮込み始める。飲食業のメンバーの指導で野菜の刻み方にも気を配り、味付けには3種類のみそをブレンドするというこだわりようだ。毎年お代わりする人が続出で、これを楽しみにしている参加者も少なくない。一行は昼食を済ませて疲れを癒やした後、往路と同じコースを歩き、スタート地点に戻って大会は終了。無事ゴールした参加者は、青いリボンと引き替えに季節の花鉢のお土産をもらって解散する。

「継続事業として休まず続けてきたこの歩け歩け大会も、おかげさまで今年38回目を迎えました。大会という名が付いていますが、スピードを競い合うものではありません。皆さんと楽しい1日を過ごすことが目的です。けがのないように楽しみましょう」

加藤会長の開会あいさつの後、全員でラジオ体操を行い、身体をほぐしてからの出発となった。クラブ旗を先頭に足並みをそろえつつも、ところどころに咲く桜や菜の花を愛でながら参加者同士の会話も大いに弾んだ。

歩け歩け大会が始まった当初は、「ウォーキング」という習慣がまだ市民に根付いていなかったという。そんな中、高麗川に沿って遊歩道が整備され始めたことから、他に先駆けて「歩く」イベントを企画した。初めのうちはもの珍しかったこともあり、多い時には350人が集まったこともあった。その後は行政を始めいろいろな団体が似たようなイベントを開催するようになり、参加者が分散。今の参加人数に落ち着いた。

「以前とは歩くコースが若干変わっていますが、折り返し地点で豚汁を振る舞うのは開始当初のまま。参加者の多くが定年退職者の方で、とにかく毎年参加するのを楽しみにしてくださっています」と、事業委員会の石川雅一委員長。今後も市民の期待に応え、リピーターに毎年楽しんでもらえるよう、町の名所をコースに組み入れるなど変化を付けて飽きさせない工夫もしていきたい、と話している。

2018.05更新(取材・動画/砂山幹博 写真/宮坂恵津子)